Goose house

Goose house（グースハウス）

概要と活動スタイル

Goose houseは、日本の音楽グループとして、そしてその活動拠点となったシェアハウスの名前として知られています。このグループは、元々それぞれがソロ活動を行っていたり、異なる分野で活躍していたミュージシャンたちが、東京都内にある「ハウス」と呼ばれるシェアハウスの一室に集まり、共に音楽を作り演奏することを目的として始まりました。ソニーのプロモーション企画「PlayYou.House」が終了した後に、名称を「Goose house」と変更し、活動の場を主にYouTubeなどのインターネット配信やライブ公演へと広げながら継続されました。

グループのメンバーは親しみを込めて「住人」と呼ばれ、メンバーがグループを離れる際は「退室」「家出」「巣立ち」といった、シェアハウスや家族を連想させるユニークな言葉で表現されました。彼らは実際に寝食を共にするシェア生活を送っていたわけではありませんが、毎日のようにハウスに集まり、顔を合わせながら共同で音楽活動に励んでいました。グループ名「Goose house」は、渡り鳥の雁に由来しており、「一羽では成し遂げられないことも、群れ（ハウス）として集まれば可能になる」という願いが込められています。

活動の最大の特徴は、従来のテレビなどのメディアを主戦場とせず、インターネット上の動画配信サイト、特にUstreamやYouTubeを通じて、オリジナル曲やカバー曲を積極的に配信した点にあります。ライブ配信中にはTwitterなどを活用し、ファン（「ハウスメイト」と呼ばれます）とのリアルタイムな交流を大切にするなど、インターネット空間を活動の核としていました。

音楽制作と関連活動

Goose houseのメンバーは、全員が作詞作曲を手がけることができる才能豊かな集団でした。グループとしての楽曲制作は、各メンバーが持ち寄ったデモ楽曲を全員で試聴し、議論を重ねながら collaboratively に完成させていくスタイルでした。活動が進むにつれて外部の作曲家が参加することもありましたが、楽曲の正式な作者は初期の作品を除いて公式にはほとんど明らかにされませんでした。この点については、後に発足した新プロジェクト「Play.Goose」の中で、一部の楽曲にまつわる制作秘話や作者についてメンバーが語る機会が設けられました。

公式ウェブサイトではオンラインショップも運営され、グループ独自のブランド「MUSIC TRAVELERS」や「NEO CITY MUSIC ACADEMY」を展開したり、ニット帽、Tシャツなどの衣類、雑貨、バッグといった公式グッズ、CDなどを販売し、活動資金の獲得とファンへのサービスを両立させていました。

現在、グループとしてのGoose houseは活動を休止している状態です。しかし、かつてGoose houseに在籍していたメンバーが中心となり、新たなプロジェクト『Play.Goose』として音楽活動を継続しており、Goose houseの精神と音楽性は受け継がれています。

来歴の歩み

Goose houseの歴史は、ソニーの「PlayYou.House」企画から始まりました。企画終了後、名称を変更しつつ、同じメンバー（d-iZe、齊藤ジョニー、K.K.など）で新たなスタートを切りました。2011年4月にはYouTubeでの本格的な活動を開始し、SNS連携も強化。同年10月には新メンバーのマナミと沙夜香が加わりました。

2012年1月、日本テレビの朝の情報番組『ZIP!』で特集され、テレビに初出演。同年5月には改名後の活動1周年を記念するライブを開催し、初のフルアルバム『Goose house Phrase #03 Wandering』をリリース。このアルバムはオリコンデイリーチャートで7位を記録するなど、大きな反響を得ました。メンバーの卒業と加入もこの頃にあり、齊藤ジョニーが一時離れ、ワタナベシュウヘイが加わりました。

2013年には神田莉緒香の卒業と齊藤ジョニーの復帰があり、メンバー構成が変動。同年、フリービット株式会社のCMキャラクターに起用され、テレビCMにも出演しました。

2014年2月、シングル『Goose house Phrase #08 オトノナルホウヘ→』で待望のメジャーデビューを果たしました。同年4月にはリーダーであるd-iZeが卒業。インターネットでの活動が実を結び、10月にはYouTube公式チャンネルの登録者数が100万人を突破し、YouTubeから「金の再生ボタン」を授与されました。

2017年2月には竹澤汀が卒業。4月からはJ-WAVEで初のレギュラーラジオ番組が放送されるなど、活動の幅を広げました。

大きな転換期となったのは2018年です。4月には定期的なライブ配信の一時休止を発表。そして11月には、工藤秀平、竹渕慶、マナミ、沙夜香、ワタナベシュウヘイの5人が「ハウスから巣立つ」ことを表明し、そのうち4人を中心に新プロジェクト「Play.Goose」を立ち上げました。この発表と同時に、これら5人のマネジメント会社との契約が終了したことも明らかになりました。齊藤ジョニーは新プロジェクトには参加しない道を選びました。

Goose houseとしてのYouTubeチャンネルはその後も残され、2021年3月には約2年半ぶりに新たな動画が投稿され、ファンを喜ばせました。

主な活動プラットフォームとイベント

ストリーミングライブ

Goose houseの活動の根幹をなすのが、定期的なストリーミングライブでした。毎月1回、土曜日の夜にYouTube Live（2017年11月まではUstream）を通じて配信され、ファンはリアルタイムで演奏を視聴することができました。配信では主にメンバーが選んだカバー曲が披露され、その他にオリジナル楽曲の発表やライブの告知なども行われました。配信開始が予定より遅れることが多かったことから、ファンの間ではこれも含めて恒例行事として楽しまれていました。ライブ中にはTwitterのハッシュタグ（#goose7, #house7など）を使ってメンバーとファンが交流し、時にはファンからのメッセージやサプライズ企画にメンバーが応える場面もありました。この配信は2018年4月をもって一時休止となり、Play.Gooseのコンサートをもって全83回を終了しました。しかし、Goose house公式YouTubeチャンネルに残された過去のアーカイブ動画は、現在も視聴可能です。

Goose house of the year (HOY)

「ホイ」と読まれた「HOY」は、その年に配信された多数のカバー曲の中から、ファン投票によって最も優れた楽曲を決定する人気企画でした。毎年11月に投票が行われ、12月のストリーミングライブで上位10曲が再演されました。2012年以降は、年間1位を獲得した楽曲のメインボーカルメンバーに「HOYバッジ」が贈られるようになりました。

YouTubeチャンネル

ストリーミングライブで演奏された楽曲は、後日改めてYouTube用に高画質で撮影・編集し直された動画として投稿されました。これにより、ライブを見逃したファンや、よりクリアな映像・音質で楽曲を楽しみたいファンにも彼らの音楽が届けられました。ただし、HOYの上位曲など、一部の楽曲はYouTubeでの単体公開は見送られるケースもありました。また、クリスマス時期にはYouTube限定のカバー動画が公開されるなど、チャンネル独自のコンテンツも提供されました。

ライブ・コンサート活動

Goose houseは、インターネットでの活動と並行して、精力的にライブ活動も行っていました。全国各地でのワンマンツアーや単発ライブを数多く開催し、ファンに直接歌声を届けました。また、『NUMBER SHOT』『旅祭』といった大規模な音楽フェスティバルやイベントにも出演し、幅広い層にその存在を知らしめました。メンバー数名で構成される「ユニット」でのライブや、ソロでのワンマンライブも実施され、メンバー個々の音楽性を掘り下げる機会も設けられました。

メンバー間の様々な組み合わせによる「ユニット」活動はライブ配信でも頻繁に行われ、特定の楽曲のために結成されたユニットや、ファンからの公募によって名前が付けられたユニットなど、バラエティ豊かな編成で楽曲を披露しました。

その他の活動

Goose houseは、音楽作品のリリースだけでなく、書籍の出版（原案）、舞台出演、ラジオ番組のパーソナリティ、テレビCMへの出演など、音楽以外の分野にも活動の幅を広げました。これらの活動は、彼らが音楽という枠を超えたクリエイター集団であったことを示しています。

Goose houseは、インターネットを駆使した独自の活動スタイルと、個々のメンバーの才能が融合した音楽によって、多くのファンを魅了しました。そのレガシーは、現在のPlay.Gooseに引き継がれています。

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