H-23 (航空機)

ヒラー H-23 レイヴン

ヒラー H-23 レイヴン（Hiller H-23 Raven）は、ヒラー モデル360をベースにした三人乗りの小型ヘリコプターです。ヒラー・エアクラフト社によってUH-12と呼ばれたこの機体は、1948年の初飛行以来、軍用と民間の両方で広く利用されてきました。

開発の経緯

このヘリコプターの背後には、スタンレー・ヒラーの情熱があります。彼は15歳の時に自らの初ヘリコプターを設計し、19歳で初の試作機XH-44を飛行させました。その後、造船業界の大物であるヘンリー・カイザーの支援を受けて1946年に「ユナイテッド・ヘリコプターズ」を設立しました。1947年にはH-23の前身モデル360Xが開発され、次年にはCAAより型式認証を取得しました。

ヒラー社は、モデル360をUH-12として量産し、1949年にはカリフォルニアからニューヨークへ初の大陸横断飛行を達成しました。その後、改良型UH-12Aが軍用機および民間機として採用され、様々な国で導入されました。

運用の歴史

H-23レイヴンは朝鮮戦争中に多用途機として観測や救急搬送に用いられました。様々な派生型があり、H-23Aは傾斜した風防を持っており、H-23Bは初等練習機として利用されました。また、UH-23C以降のモデルは、ベル47に似たキャノピーを採用しています。

この機体はヒラー社の「ローター＝マティック」サイクリック・コントロール・システムを搭載し、操縦桿の動きによって主ローターの迎え角が変化し、操縦の精度を向上させました。OH-23の最高速度は97 mph（約156 km/h）です。主ローターは2枚、テールローターは2枚の金属製ブレードを備え、信頼性が向上しています。OH-23B及びOH-23Cはフランクリン O-335-5Dエンジンを採用し、OH-23Dではさらに信頼性の高いエンジンに変更されています。

OH-23Gは、3名分の座位に救急搬送用の担架を載せることができ、1968年にはOH-6Aカイユースに置き換えられました。特に、ソンミ村虐殺事件に関与したヒュー・トンプソン・ジュニアが操作していたレイヴンは注目されます。

派生型と国際的な運用

H-23は様々な派生型が開発され、軍用・民間共に幅広く使用されました。例えば、H-23AからH-23Gまでの各モデルがあり、それぞれ異なる特性を持っています。特に、アメリカ陸軍向けに多くの機体が製造され、カナダ、イギリス、メキシコなど多くの国で運用されました。また、イギリス海軍ではヒラー12Eを使用し、長期間にわたってその信頼性を評価されています。

要目

H-23Dの基本諸元は、乗員が2名、全長8.47m、全高2.99m、ローター直径10.80m、最大離陸重量が1,227kgです。最大速度は153 km/h、実用上昇限度は4,025 mに達し、様々な任務に対応できる多目的ヘリコプターとしての役割を果たしました。

このように、ヒラー H-23 レイヴンは、歴史的なヘリコプターとして数多くの場面で活躍してきました。その多用途性と信頼性から、今後も航空機の発展に寄与する存在であり続けるでしょう。

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