H-43 (航空機)

カマン H-43「ハスキー」

カマン H-43は、1950年代から1970年代にかけてアメリカ空軍、海兵隊、海軍で運用されたヘリコプターです。この機体は、主に航空機の消火活動や救助ミッションに使用され、多大な貢献を果たしました。その愛称は「ハスキー」であり、特異なデザインと優れた運動性能で知られています。

設計と開発

このヘリコプターはカマン・エアクラフト社によって開発され、特に交差双ローター式という独自の推進システムを備えています。このシステムによるサーボフラップ効果により、操縦性が大幅に向上しています。最初のプロトタイプはHTK-1として1947年に登場し、アメリカ海軍へ納入されました。その結果、最初に29機が製造されました。

1950年代に入ると、アメリカ海軍は新しい汎用ヘリコプターの設計競争を行いました。その際、HTK-1の大型モデルであるカマンK-600が採用され、HUK-1（海軍）やHOK-1（海兵隊）として運用が開始されました。1957年にはアメリカ空軍がこの機体に注目し、HOK-1の改良型をH-43Aとして採用しました。

さらに、1958年にはカマン社は新たにT53-L-1Bターボシャフトエンジンを搭載したK-600-3を開発し、18機の注文を受けました。これにより、性能が飛躍的に向上し、積載量も増大したため、空軍の任務に適した機体となりました。最終的にはHH-43F（K-600-5）の型式まで進化し、性能や積載能力が強化されました。

戦歴

H-43はベトナム戦争において、特に第38救難・回収飛行中隊に配属され、複数の分遣隊として活動しました。この部隊は、コールサイン「ペドロ」として知られ、現場での救助任務において重要な役割を果たしました。1970年代前半まで使用され、新型機に交代するまで多くのミッションを遂行しました。

各型解説

H-43には多くのバリエーションがあり、以下が代表的な型式です：

• - XHTK-1: 複座試作型
• - HTK-1: 海軍仕様の複座型、29機が製造
• - HOK-1: 海兵隊用の型、81機が製造
• - H-43A: 空軍型、後にHH-43Aと改称
• - HH-43B: H-43Aの改良型、203機が製造

この他にも、HUK-1やUH-43C、OH-43Dなどの海軍仕様や海兵隊仕様も存在しました。最終型のHH-43Fは、さらなるエンジンの強化とローターの改良が施され、大幅に性能が向上しました。

使用国

カマン H-43はアメリカ合衆国をはじめ、イラン、コロンビア、タイ、パキスタン、ミャンマーなどでも使用されました。特に、ミャンマーの空軍では救難用途として採用されていました。

性能・主要諸元（HH-43B）

• - 乗員: 3名（操縦士、観測員、消防員）
• - 全長: 7.62 m
• - 全幅: 14.3 m
• - 全高: 5.23 m
• - 最大離陸重量: 4,150 kg
• - エンジン: ライカミング T53-L-1B ターボシャフト（860 shp）
• - 超過禁止速度: 193 km/h
• - 巡航速度: 178 km/h
• - 上昇率: 610 m/min（海面上）
• - 実用上昇限度: 7,620 m
• - 航続距離: 445 km

まとめ

カマンH-43「ハスキー」は、特異な設計と優れた運用能力で、アメリカ軍の救助及び消火活動に大きな役割を果たしました。長きにわたって運用され、その性能は後のヘリコプター開発にも影響を与える重要な機体でした。

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