HALF TONE SMILE

米川英之がソロアーティストとして発表した通算2枚目のオリジナルアルバムが『HALF TONE SMILE』（ハーフ トーン スマイル）です。1994年3月20日に音楽シーンに登場した本作は、彼にとってレコード会社をバップへ移籍して最初のアルバム作品となりました。前作『Sweet Tears』から約1年半のインターバルを経てリリースされた本作は、新たな音楽制作環境で生み出された楽曲群が収録されており、当時のリスナーやメディアから注目を集めました。

このアルバムの特徴の一つとして、複数の収録曲がテレビ番組のタイアップとして使用された点が挙げられます。例えば、アルバムの最後に収録されているタイトルと同名の楽曲「同窓会」は、リリースに先行して彼の2ndシングルとして発表されていましたが、同時期に日本テレビ系列で放送されていたテレビドラマ「同窓会」のイメージソングに起用され、作品の世界観を彩りました。

さらに、アルバムの2曲目に収められた「君よ、夢を語れ」もまた、同じく日本テレビ系列で放送されていたプロレス実況中継番組「全日本プロレス中継30」のエンディングテーマ曲として使用されました。具体的には、1994年3月27日（26日深夜）から5月22日（21日深夜）までの放送期間に、この楽曲が番組の締めくくりを飾りました。こうしたメディア露出は、アルバム全体の認知度向上に貢献したと言えるでしょう。

アルバム『HALF TONE SMILE』には、これらのタイアップ楽曲を含め、バラエティ豊かな全10曲が収録されています。米川英之自身が作曲・編曲に深く関わったこれらの楽曲は、彼のギタリストとしてのルーツを感じさせるインストゥルメンタル的なアプローチと、メロディアスなボーカル楽曲が融合した内容となっています。特に、アルバムの中盤に位置する「君の空 僕の海」は、先に触れたシングル「同窓会」のカップリング曲として既に発表されており、シングルとアルバムの間で楽曲が関連づけられている構成も興味深い点です。

収録曲リストは以下の通りです。

Paradox
君よ、夢を語れ
涙は君に似合わない
届かないBirthday Song
堕ちた天使の夜
君の空 僕の海
My Final Lady
時の残像
Everlasting
同窓会

リリースから時が経ち、現在このアルバムをCDという形で新規に入手することは困難となっています。長らく廃盤状態が続いており、フィジカルメディアでの流通は停止しています。しかし、現代の音楽リスニング環境の変化に伴い、デジタル配信サービスでの利用が可能となっています。特に、iTunes Storeなどでは、アルバム全体をダウンロード購入したり、お気に入りの楽曲だけを選んで購入したりすることができます。これにより、リリース当時にリアルタイムで聴いていたファンはもちろん、後追いで米川英之の作品に触れるリスナーも、このアルバムにアクセスしやすくなっています。

『HALF TONE SMILE』は、米川英之がソロアーティストとして新たな一歩を踏み出した時期の重要な作品であり、彼の音楽的な幅広さを示すとともに、当時のメディアとの連携によって多くのリスナーにその存在を知らしめたアルバムと言えるでしょう。廃盤となった今もなお、デジタル形式でその音楽は生き続けています。

もう一度検索