プロレス中継

プロレス中継：黎明期から現代まで

この文章では、日本のプロレス中継の歴史を、黎明期からインターネット配信時代まで詳細にたどり、その変遷とプロレス界との密接な関係を解説します。さらに、アメリカ合衆国やメキシコにおけるプロレス中継事情についても触れ、世界的な視点も加えます。

日本のプロレス中継：戦後から1970年代

1953年、力道山の日本プロレス協会設立を機に、日本におけるプロレス中継が始まりました。日本テレビやNHKが初期の中継を担い、その後TBSやABCテレビなどの民放も参入しました。当初は不定期な放送でしたが、徐々に定期番組化が進み、『プロレス・ファイトメン・アワー』、『三菱ダイヤモンド・アワー』、『OTVスポーツファンシート・プロレスアワー』などが人気を博しました。

1960年代後半には国際プロレスがTBSで中継を開始、さらにNETテレビ（現・テレビ朝日）が『ワールドプロレスリング』をスタートさせました。しかし、この頃の番組は、日本プロレスとの放映権争いや、過激な試合内容による問題点も抱えていました。特に、流血シーンを巡る論争は、カラーテレビ放送への影響も及ぼしました。

1970年代に入ると、全日本プロレスと新日本プロレスの二大勢力が形成され、それぞれ日本テレビとNETテレビを中心に中継されました。この時代は、テレビ中継が団体の興行収入を大きく上回るほど重要な収入源であり、テレビ局との関係は団体運営に大きく影響しました。

1980年代：黄金期と衰退の始まり

1980年代は、新日本プロレスが猪木、タイガーマスクらの活躍により絶大な人気を獲得した黄金期でした。金曜夜8時の『ワールドプロレスリング』は高い視聴率を記録し、「伝説の金曜8時」と呼ばれました。一方、全日本プロレスはジャンボ鶴田らを擁し、日本テレビとの強い結びつきの中で放送を続けました。

この時代、UWFの旗揚げはプロレス界に衝撃を与えました。テレビ中継に頼らない経営を成功させたUWFは、プロレス界の常識を覆す存在となりました。その後、SWSやFMWといった団体も独自のスタイルで成功し、テレビ中継への依存度が低下する転換期となりました。

1990年代以降：インディー団体の台頭と多様化

1990年代に入ると、インディー団体が隆盛を極めました。FMWは大仁田厚のカリスマ性と過激なデスマッチで人気を集め、テレビ中継に頼らずとも成功するモデルを示しました。他方、メジャー団体は地上波での放送時間が短縮され、深夜枠への移動を余儀なくされました。

この時代、CS放送やインターネット配信が台頭し、プロレス中継の視聴形態は多様化しました。WOWOWがUWFの後継団体「リングス」と独占中継契約を締結するなど、新しいビジネスモデルも登場しました。

2000年代以降：インターネット配信と地上波からの撤退

2000年代になると、スカパー!などの衛星放送やインターネット配信が主流となり始めました。地上波ではゴールデンタイムでのプロレス中継が減少、深夜枠へと追いやられました。各団体は、自社サイトや動画配信サービスによるPPV方式を採用し、従来のテレビ局との関係から独立する動きが強まりました。

新しい時代：インターネット配信の時代へ

2010年代以降は、新日本プロレスワールドやDDT UNIVERSEといった定額制動画配信サービスが登場し、団体は自前の配信プラットフォームを構築するようになりました。AbemaTVなどのインターネットテレビ局もプロレス中継に参入し、視聴形態はさらに多様化しました。

新型コロナウイルス感染症の流行は、無観客試合のインターネット配信を促進させました。YouTubeなどの動画投稿サイトによる配信が多くの団体で採用され、収入源としても重要な役割を果たしています。

プロレス中継番組と放映権

現在、新日本プロレスはテレビ朝日系列で地上波とBS、CS、インターネット配信と複数のプラットフォームで放送されています。全日本プロレス、プロレスリング・ノア、DRAGON GATE、DDTプロレスリングなども、地上波、CS放送、インターネット配信などを活用して番組を放送しています。

アメリカとメキシコ

アメリカ合衆国では、プロレス興行はテレビ番組としてパッケージされ、「テレビマッチ」と呼ばれています。WWEは「RAW」や「SmackDown」といった長寿番組を放送しており、大きな影響力を持っています。メキシコでは、1980年代後半からテレビ中継が解禁され、現在ではCMLLやAAAといったメジャー団体がPPVも実施しています。

まとめ

日本のプロレス中継は、力道山から始まり、幾多の変遷を経て、現在ではインターネット配信が主流となっています。地上波からの撤退、インディー団体の台頭、そしてインターネット配信の普及は、プロレス界のビジネスモデルに大きな変化をもたらしました。今後、プロレス中継は、さらに多様な形態で発展していくことが予想されます。

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