HCard

hCardとは、ウェブページ上で人物、企業、団体、場所などの詳細な連絡先情報（名前のみの場合も含む）を表現するためのマイクロフォーマットです。この技術は、(X)HTML、Atom、RSS、または任意のXML形式で連絡先データを構造化し、ウェブサイトやアプリケーション間での情報のやり取りを容易にします。

hCardは、vCard（RFC 2426）のプロパティと値の表記法を基盤とし、HTMLのクラス属性や「rel」属性を使用して情報を識別します。これにより、ウェブページに埋め込まれた連絡先情報を、構文解析ツール（例：ブラウザプラグインやFirefoxのOperatorなど）を通じて、抽出、表示、他のウェブサイトやマッピングツールでの利用、検索、アドレスブックプログラムへのインポートといった様々な用途に活用できます。

Googleは2009年5月にhCard、hReview、hProductといったマイクロフォーマットの構文解析に対応し、検索結果ページでの表示を改善しました。2010年9月には、ローカル検索結果ページにhCardとhReviewの情報を表示する方針を発表し、ウェブコンテンツの構造化データに対する関心の高まりを示しました。また、2011年2月にはFacebookもイベント会場のマークアップにhCardを採用し、その利用が広がっています。

hCardの構造と使用例

HTMLでの基本的な記述は以下のようになります。
html



これにマイクロフォーマットマークアップを追加すると、以下のようになります。

html



この例では、「fn」（名前）、「org」（組織）、「tel」（電話番号）、「url」（ウェブアドレス）といったプロパティが特定のクラス名によって識別されています。全体を囲む`class="vcard"`はhCardであることを示します。組織や開催地を表すhCardの場合、「fn」と「org」は`Wikipedia`のように同一要素内で使用されることがあります。また、hCardには必須ではないが、任意で使用できるクラスも存在します。

現在では、ブラウザのプラグインなどのソフトウェアを通じて、情報の書き出しやアドレスブックへの転送が可能になっています。

Geoとadr

Geoマイクロフォーマットは、hCard仕様の一部として、場所の座標情報をhCardに含めるために使用されることがあります。また、hCardの「adr」部分は単独のマイクロフォーマットとしても利用可能です。

具体例

以下は、ウィキメディア財団の連絡先情報をhCardで表現した例です。

html



この例では、「fn」と「org」が1つの要素にまとめられており、これは人物ではなく組織を表すhCardであることを示しています。

その他の属性

hCardで一般的に使用される属性には、以下のようなものがあります。

`bday` - 人物の誕生日
`email` - メールアドレス
`honorific-prefix` - 敬称（例：Mr., Ms.）
`honorific-suffix` - 称号（例：Jr., PhD）
`label` - 非構造化アドレス
`logo` - ロゴ画像
`nickname` - ニックネーム
`note` - 任意のテキスト
`photo` - 写真
`post-office-box` -私書箱

関連事項

DataPortability
vCard
XHTML Friends Network
h-card - microformats2における代替要素

hCardは、ウェブ上の情報を構造化し、再利用性を高めるための重要な技術です。検索エンジンの最適化だけでなく、ウェブアプリケーションやサービス間でのデータ交換を促進し、よりスマートなウェブ体験を提供するための基盤となっています。

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