HIMAC

HIMAC（ハイマック）について

HIMAC、正式には「Heavy Ion Medical Accelerator in Chiba」は、千葉県千葉市に位置する、国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構が運営する重粒子線がん治療装置です。HIMACは、日本国内において非常に強力な重イオン加速器の一つとして知られ、がん治療のみならず、物理学等の研究も行える施設です。

構成要素

HIMACは主に以下の装置から構成されています：

• - 主加速器（シンクロトロン）

2リング式のシンクロトロンを用いて、最大800MeV/核子までの加速が可能です。リングの直径は約42m、周長は約130mで、水平・垂直方向にエネルギーを調整し、正確な照射が実現されています。

• - 入射器および線型加速器

RFQとアルバレの2つの加速器を使用し、約6MeV/核子まで加速することができます。RFQライナックは直径0.6m、長さ7.3m、800keV/核子まで加速可能であり、アルバレライナックは直径2.2m、長さ24mで6MeV/核子までの加速が行えます。

• - イオン源

治療に必要なビーム強度を確保するために、PIG型イオン源とECR型イオン源があります。PIG型では、炭素、窒素、酸素、ネオンなどが生成可能です。一方、ECR型はより多くの元素を生成できる特性があります。

• - 治療室

多様な腫瘍の治療に対応するため、体内飛程が約30cm必要とされます。重粒子線は治療台近くにあるスノート（照射筒）から患部に照射され、治療のためのコースは、垂直のみ、水平のみ、及び両方の3つに分かれています。

治療の仕組み

HIMACにおいて、治療に用いるビームはまず散乱体を通過し、その後、ワブラ、リッジフィルタ、レンジシフタを経て、MLC（Multi Leaf Collimator）で照射範囲が調整されます。最後にボーラスにより照射強度が形成され、正確に治療が行われます。これにより、がん細胞に対する重粒子線治療が効果的に実施されるのです。

研究の側面

HIMACは、がん治療以外にも夜間や休日等に原子核物理学の研究を行っています。これにより、医療と研究の両方の機能を果たす施設としての役割を担っています。

総括

HIMACは、国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構における重粒子線がん治療の中心的存在であり、国内のみならず国際的にも注目されています。今後もこの施設において、さらなる技術革新と研究が期待されており、がん治療の進展にきわめて重要な役割を果たしています。

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