HRP-2

HRP-2（エイチアールピー・ツー）

HRP-2は、2003年に通商産業省の「人間協調・共存型ロボットシステム」研究開発事業の一環として開発された二足歩行ロボットです。このロボットは、産業技術総合研究所、川田工業、安川電機、清水建設の4社によって共同で研究開発され、外装デザインはパトレイバーシリーズのメカニックデザイナーである出渕裕氏が手掛けています。愛称は「Promet（プロメテ）」と呼ばれ、第34回星雲賞自由部門を受賞した経歴も持ちます。後に、HRP-3（2007年）、HRP-4C（2009年）などの後継機が発表され、HRP-2はその基盤ともなりました。その性能の優れた点が認められ、2017年には国立科学博物館により「未来技術遺産」として登録されています。

HRP-2の特徴

HRP-2の基本設計は非常に先進的で、スリムな形状を持ち、背中にバックパックを装備せずに30自由度を活かした動作が可能です。そのため、平均台のような狭い場所でもスムーズに歩行できます。外形の高さは154センチ、体重58キログラムで、横幅は62センチというコンパクトな設計を特徴としています。腕や足には、それぞれに6軸ライセンスが搭載され、特にセンサー性能においては、頭部には高性能な三眼ステレオカメラ、胴部には3軸振動ジャイロセンサーと3軸加速度センサーが装着されています。

操作性と動作の多様性

HRP-2は、転倒した際にも安全に起き上がる転倒回復技術を装備しています。これにより、仰向けやうつ伏せの状態からも自力で立ち上がれるため、実用的な場面での活用が期待されます。また、HRP-2は人間と協力して作業する能力も持っており、例えば、畳一畳ほどのパネルを人間と一緒に運ぶデモンストレーションが行われてきました。その他にも、以下のような動作を行うことが可能です。
1. 四つん這いになって進む
2. 机に手をついてバランスをとる作業
3. 床に置いた重い物体を押す
4. 手すりを使って高い段差を上る

特に、2005年には会津磐梯山という踊りをモーションキャプチャで学習し、ダンスを披露する驚きのパフォーマンスも行いました。

産業利用とレンタル業務

HRP-2は、商業的用途においても関心を持たれています。川田工業が提供するレンタルサービスでは、ハードウェアは3800万円（税別）で5年間利用できる他、年間のメンテナンスコストは400万円（税別）とされています。また、制御ソフトウェアはゼネラルロボティクス社が販売しており、400万円（税別）で購入及び年間60万円（税別）のメンテナンスが必要です。

ただし、実際には業務において自律的かつ効果的に使用するのは難しいという現状もあります。展示や研究の場では注目を集めるロボットですが、日常的な作業をこなすにはさらなる技術的進歩が求められるでしょう。HRP-2は、日本における人間型ロボット技術の先駆けとして、その後の研究や開発に多くの影響を与える存在となっています。

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