Hajime Chitose

『Hajime Chitose』は、元ちとせがインディーズ時代にリリースした唯一のアルバムであり、彼女の音楽キャリアにおける重要な出発点を示す作品です。このアルバムは、全曲がカバー曲で構成されており、彼女の幅広い音楽的ルーツと、様々なアーティストへの敬愛の念が込められています。

収録曲は、Sugarcubesの「Birthday」で幕を開け、その独創的な世界観を元ちとせならではの解釈で表現しています。山崎まさよしの「名前のない鳥」は、彼の2ndアルバム『HOME』に収録された楽曲のカバーであり、元ちとせの歌声を通して新たな命が吹き込まれています。この曲には山崎まさよし本人もアコースティックギターで参加しており、貴重なセッションが実現しました。

ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの「Sweet Jane」、ジミ・ヘンドリックスの「Little Wing」といった、時代を超えて愛される名曲も収録。これらの楽曲を、元ちとせは彼女独自の感性と表現力で、原曲とは異なる魅力を引き出しています。あがた森魚の「冬のサナトリウム」は、独特な歌詞世界とメロディが、元ちとせの情感豊かな歌声によって、より一層深く心に響きます。キャロル・キングの「Home Again」は、温かく優しい歌声で、聴く人を癒し、安らぎを与えてくれます。

アルバムの演奏には、間宮工（Acoustic Guitar, Electric Guitar & Programming）、四家卯大（Cello）、三沢泉（Percussion）、ライオン・メリィ（Piano, Accordion）、森俊之（Analog Synthesizer）といった、豪華なミュージシャンたちが参加。彼らの卓越した演奏が、元ちとせの歌声をより一層引き立てています。特に、山崎まさよしがアコースティックギターで参加した「名前のない鳥 (NY Sessions #2.6)」は、ファンにとっては聴き逃せない貴重なトラックです。

『Hajime Chitose』は、元ちとせの音楽的なルーツを辿る旅であり、彼女の才能の原石を感じさせる作品です。カバー曲を通して、彼女自身の音楽性を確立していく過程を垣間見ることができます。インディーズ時代の貴重な音源でありながら、彼女の歌声はすでに完成されており、その才能の片鱗を十分に感じることができます。このアルバムは、元ちとせのファンはもちろん、良質な音楽を求めるすべての人にとって、必聴の作品と言えるでしょう。

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