Hands Of Gravity

the HIATUS 5thアルバム『Hands Of Gravity』：重力の手が導く、バンドサウンドの進化

2016年7月6日、the HIATUSの5枚目のオリジナルアルバム『Hands Of Gravity』（ハンズ オブ グラヴィティ）がリリースされました。日本語で「重力の手」を意味するこのタイトルが示唆するように、本作はバンドの新たな重心、そして進化の方向性を示す重要な作品となっています。

前作『Keeper Of The Flame』から約2年3ヶ月。前作で顕著だったDTMを駆使したミニマルなサウンドから、本作ではバンドサウンドへの回帰が明確に打ち出されています。細美武士（Vo, G, Programming）、柏倉隆史（Dr）、伊澤一葉（Piano, Keyboards, Strings Arrangement）の3人が中心となり作曲を進め、その後、masasucks（G）、ウエノコウジ（B）を含む5人全員でアレンジを練り上げていくという、バンドの総力を結集した制作体制が採られました。

レコーディング・エンジニアには柏井日向氏を迎え、マスタリングは世界的に名高いテッド・ジェンセン氏が担当。サウンド面においても、高いクオリティが追求されています。

全10曲を収録した本作は、2曲のミュージックビデオが制作されたことでも話題を呼びました。「Clone」は全編アニメーションで制作され、幻想的な世界観を表現。「Bonfire」はバンドメンバーが円陣を組んで演奏する様子を、360度回転するカメラで捉えたライブ感あふれる映像となっています。

興味深いのは、本作の制作時期と並行して細美武士が率いるソロプロジェクト、MONOEYESのアルバム『A Mirage In The Sun』も制作されていた点です。両作品は密接な関係性を持っており、互いに影響を与え合いながら制作されたことがうかがえます。この点からも、『Hands Of Gravity』が細美武士の音楽性における重要な転換点となっていることがわかります。

演奏陣は、[細美武士]]に加え、masasucks、ウエノコウジ、柏倉隆史、伊澤一葉の5人がthe HIATUSのメンバーとして参加。さらに、ストリングスアレンジにおいては、梶谷裕子(1st Violin)、佐藤帆乃佳(2nd Violin)、萩原薫(Viola)、徳澤青弦]といった実力派奏者たちが参加し、[[アルバムに深みと奥行きを与えています。

『Hands Of Gravity』は、バンドサウンドへの回帰、そして高度な音楽性と表現力を兼ね備えた、the HIATUSの成熟を示す重要な作品と言えるでしょう。ミニマルなサウンドからバンドサウンドへのシフト、そしてMONOEYESとの関連性、豪華な演奏陣など、多くの聴きどころを持つ本作は、the HIATUSの音楽史においても特筆すべき一枚として記憶されています。

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