Hi8

Hi8（ハイエイト）とは

Hi8は、ソニーをはじめとする各社が開発した家庭用ビデオ規格で、8ミリ[[ビデオ]]の発展形として位置づけられます。従来の8ミリ[[ビデオ]]（Video8）の記録方式をベースに、メタルテープの特性を向上させることで、より高画質な映像記録を実現しました。

Hi8の技術的特徴

Hi8の最大の特徴は、輝度信号のハイバンド化による高画質化です。これにより、水平解像度約400TV本という、当時の家庭用ビデオとしては高精細な映像記録が可能になりました。テープの最大記録時間はSPモードで180分です。

もともとHi8は、8ミリ[[ビデオ]]規格の「オプション規格」として登場し、従来の記録方式は「スタンダード8ミリ」または「Video8」と呼ばれるようになりました。登場当初は過渡的な存在でしたが、次第にスタンダード8ミリからHi8へと移行が進み、90年代にはほぼHi8規格が主流となりました。

この移行は、S-VHSへの移行が進まなかったVHSとは対照的です。テレビ録画ではS-VHSのメリットが十分に発揮されなかった一方、カムコーダーにおいてはHi8の性能が十分に評価され、普及が進みました。

しかし、画素数を増やした代償として、画素の微細化により感度が低下し、暗い場所での撮影が難しくなるというデメリットも生じました。また、CCDやレンズのコストダウンの影響で、撮影条件によってはHi8がVideo8に劣るケースもありました。これに対し、ソニーは後になってCCDのサイズを多少大きくした製品を発売しています。

Hi8テープには、塗布型テープを前提としたMPポジションと、蒸着テープを前提としたMEポジションがあり、デッキやカムコーダーが自動的に検出して切り替えていました。MEポジションの方が高画質ですが、初期にはヘッドタッチの悪さやドロップアウトが発生しやすいという問題がありました。この問題を解決するため、富士フイルムやTDKから薄膜塗布技術で性能を向上させたMEポジション用の塗布型テープも発売されています。

また、Video8/Hi8はテープや磁気ヘッドが小さいため、ヘッドクロッグによる画質低下が起こりやすいという問題がありました。綿棒で丁寧にクリーニングすることで改善する場合もありましたが、ヘッドは非常に繊細な部品であるため、取り扱いには注意が必要でした。

Hi8の再生互換性と課題

Hi8で記録したテープは、基本的にスタンダード8ミリ専用機器では再生できません。ただし、ポータブルデッキ「ビデオウォークマン」の一部機種には、Hi8の簡易再生機能が搭載されていました。これはVHSにおけるSQPBに相当するもので、画質はスタンダード8ミリ並みでした。しかし、この機能を持つ機種はごく一部に留まりました。

スタンダード8ミリ専用機でHi8テープを再生・録画すると、色ムラなどの不具合が生じるため、注意が必要でした。

Hi8ビデオデッキ

Hi8の製品群としては、カムコーダーが主流でしたが、据置型のビデオデッキも販売されていました。初期のモデルにはPCM録音に対応した意欲的な製品もありましたが、テレビ番組録画用としての需要はあまり伸びませんでした。

90年代には、VHSとの連携が重要視され、ダブルデッキが発売されるようになりました。これは、8mmビデオをVHSで見たいというニーズに応えたものでした。ポータブルデッキ「ビデオウォークマン」は、わずか2機種で終息し、その後はVHSとDVのダブルビデオへと移行しました。

XR規格とDigital8

Hi8の高画質化技術として、1998年には輝度信号の周波数帯域を拡張したXR規格が登場しました。しかし、後継規格であるDVやDigital8が登場したため、対応機種はごくわずかでした。

1999年には、Hi8テープを共用する規格としてDigital8が登場しました。Digital8は、Hi8の倍速でテープを使用することで、DV規格のデジタル動画を記録することができました。また、Hi8で録画されたテープの再生も可能です。Digital8は、主に第三世界向けに展開されました。

2000年代に入ると、DV規格への移行が進み、Hi8のカムコーダーや据置デッキの生産は終了しました。その後、過去の録画テープ再生用として、Digital8規格のビデオウォークマンの生産が続けられましたが、2011年9月をもって終了しました。

Hi8の終焉とその後

Hi8は、家庭用ビデオの高画質化に貢献しましたが、より高画質なデジタルビデオ規格の登場とともに、その役割を終えました。しかし、Hi8で記録された映像は、現在でも再生機器があれば鑑賞することができます。

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