Digital8

Digital8（デジタルエイト）とは

Digital8は、ソニーが1999年に発表した民生用デジタルビデオ規格です。これは、既存のHi8ビデオテープにデジタル映像を記録する技術で、SD画質（720x480ドット）の映像をDV方式のフォーマットで記録します。ハイビジョン画質には対応していません。

記録方式

Digital8の最大の特徴は、映像データと音声データにDV方式をそのまま使用している点です。これにより、DV機器との親和性が高く、デジタルデータの取り扱いが容易になりました。

映像フォーマット

NTSC記録時の詳細なフォーマットは以下の通りです。

• - 輝度(Y)サンプリング周波数: 13.5MHz
• - 色差(Cb/Cr)サンプリング周波数: 3.375MHz
• - クロマサブサンプリング: Y:Cb:Cr = 4:1:1
• - 量子化ビット数: 8bit
• - フレームレート: 29.97fps
• - データレート: 25Mbps

圧縮前のデータレートは162Mbpsですが、ブランキング区間を除去し、さらにDCT圧縮を行うことで25Mbpsに収めています。フレーム間圧縮は行いません。

音声フォーマット

音声フォーマットは以下の2種類があります。

• - 2chの場合: サンプリング周波数48kHz、量子化ビット数16bit
• - 4chの場合: サンプリング周波数32kHz、量子化ビット数12bit

その他の特徴

• - ヘリカルスキャンヘッドの回転速度は4500rpmで、DV方式との整合性を保つため、2トラック分を縦に並べて記録します。
• - テープ速度はHi8テープを使用するためアナログ8ミリの2倍の28.666mm/sで、120分テープには60分録画可能です。
• - LPモードではテープ速度が1.5倍となり、180分テープに135分録画できます。
• - DV端子 (IEEE 1394端子) を装備しており、DV方式の機器と完全に互換性があります。これにより、パソコンへのデジタル映像の取り込みが容易に行えます。

歴史

Digital8は、発売当初、海外でのHi8カムコーダの売れ行きが好調だったことから、買い替え需要が期待されました。しかし、市場での普及は限定的で、ソニー以外のメーカーは参入しませんでした。結果として、ハンディカム8機種とビデオウォークマン2機種が発売されたのみで、3年余りで製品展開をストップしました。

しかし、ビデオウォークマン2機種は、過去の8ミリビデオテープの再生用として需要があり、しばらく生産が継続されました。最終的に2011年9月までに全製品の生産が終了し、Digital8を含む8ミリビデオ規格の歴史に幕を閉じました。

国内で発売された主な製品

Digital8対応のカムコーダには、以下のような機種がありました。

• - DCR-TRV220K
• - DCR-TRV225K
• - DCR-TRV310K
• - DCR-TRV620K
• - DCR-TRV735K
• - DCR-TRV820K
• - DCR-TRV935K

これらの機種は、アナログ記録された8ミリビデオテープの再生にも対応していました。また、一部の機種には、キャリングバッグや三脚、大容量バッテリなどの付属品が同梱されたモデルも存在しました。

注釈

Digital8は、技術的には優れた規格でしたが、市場での普及が限られたため、短命に終わりました。しかし、その技術は、後のデジタルビデオ規格の発展に大きく貢献しました。また、過去の8ミリビデオテープの再生機としての役割は、長らく需要がありました。

関連項目

• - ソニーのビデオカメラ製品一覧

外部リンク

• - Digital8とは（ソニー）

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