How many いい顔 (アルバム)

郷ひろみ15枚目のオリジナルアルバム『How many いい顔』：80年代歌謡史に輝くコンセプトアルバム

1981年、日本の歌謡界を牽引してきた郷ひろみは、15枚目のオリジナルアルバム『How many いい顔』をリリースしました。前作『THE BEST 郷ひろみ』からわずか2ヶ月後、オリジナルアルバムとしては『MAGIC』から約5ヶ月ぶりのリリースという、精力的な活動の一端を垣間見ることができる作品です。

このアルバム最大の特徴は、そのコンセプトの明確さです。表題曲「How many いい顔」に続き、「処女の章」「少女の章」「娼婦の章」「淑女の章」と続く4章構成は、女性の様々な側面を音楽で表現するという、当時としては斬新な試みでした。単なる楽曲集ではなく、一つの物語を紡ぎだすような、高度な構成が施されている点が大きな魅力です。

楽曲のクオリティも非常に高く、豪華な制作陣が参加しています。作詞には阿木燿子、ちあき哲也、神田広美といったそうそうたるメンバーが名を連ね、作曲には網倉一也、都倉俊一といった当時のヒットメーカーが参加。編曲は萩田光雄がほぼ全曲を担当し、統一感のあるサウンドプロダクションに仕上がっています。

シングル曲はもちろんのこと、アルバムのために書き下ろされた楽曲も多数収録されており、郷ひろみの歌唱力と表現力の幅広さを堪能できます。特に印象的なのは、グラハム・ラッセルの楽曲をカバーした「Ready For You」と「Don't Want To Say Goodnight」、そして、アルバムのコンセプトを象徴するような「ペルソナ（仮面）」でしょう。これらの楽曲は、郷ひろみの歌唱によって新たな魅力が開花しており、アルバム全体の完成度を高める重要な役割を果たしています。

また、このアルバムには、いくつかのタイアップも存在します。カネボウ化粧品のCMソングとして使用された楽曲や、TBS系列の水曜ドラマ『春の訪問者・ミセスとぼくとセニョールと!〜夢飛行〜』の挿入歌として使用された楽曲など、当時の社会情勢を反映した側面も見られます。

『How many いい顔』は、単なるアイドル歌手のアルバムという枠を超えた、一つの芸術作品と言えるでしょう。80年代の音楽シーンを代表する名盤として、今なお多くのファンを魅了し続けています。郷ひろみの音楽性、そして80年代歌謡史における重要な位置づけを理解する上で、必聴のアルバムと言えるでしょう。

主な収録曲

How many いい顔 (作詞：阿木燿子、作曲：網倉一也、編曲：萩田光雄): アルバム表題曲であり、35枚目のシングル曲。
聖少女 (作詞：ちあき哲也、作曲：網倉一也、編曲：萩田光雄): 37枚目のシングルのカップリング曲。
Nazo Nazo (作詞：神田広美、作曲：網倉一也、編曲：萩田光雄)
ペルソナ（仮面） (作詞：ちあき哲也、作曲・編曲：萩田光雄)
ポーカー・フェイス (作詞・作曲：網倉一也、編曲：萩田光雄)
Hold Me (作詞：神田広美、作曲・編曲：萩田光雄)
Ready For You (作詞・作曲：グラハム・ラッセル、日本語訳詞：岡田冨美子、編曲：萩田光雄): グラハム・ラッセルの楽曲カバー。
魔女裁判 (作詞：阿木燿子、作曲：都倉俊一、編曲：萩田光雄): 36枚目のシングルのカップリング曲。
Don't Want To Say Goodnight (作詞・作曲：グラハム・ラッセル、日本語訳詞：神田広美、編曲：萩田光雄): グラハム・ラッセルの楽曲カバー。
若さのカタルシス (作詞：阿木燿子、作曲：都倉俊一、編曲：萩田光雄): 36枚目のシングル曲。
* Empty Pages (作詞・作曲：グラハム・ラッセル、日本語訳詞：岡田冨美子、編曲：萩田光雄): グラハム・ラッセルの楽曲カバー。

これらの楽曲は、郷ひろみの多様な音楽性を示すものであり、アルバム全体の完成度を高めています。このアルバムを通して、郷ひろみの才能とアーティストとしての魅力を改めて感じることができるでしょう。

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