Hs 121 (航空機)

ヘンシェル Hs 121について

ヘンシェル Hs 121は、1930年代にドイツで試作された単発、単座の高翼単葉戦闘機ですが、同時に高等練習機としても利用可能な設計がなされています。ヘンシェル社は元々、機関車や自動車の製造を行っていたメーカーであり、1930年代初頭に新たに航空機製造に進出する決断をしました。その結果、1933年にカッセルにヘンシェル航空機製作所が設立され、航空機開発への道が開かれました。

第一次世界大戦後、ドイツはベルサイユ条約により軍用機の開発が禁止され、そのため民間機に見せかけた軍用機の開発計画が進められました。政府は航空運輸委員会を設立し、軽量の単座戦闘機の開発を促進しました。その計画に応じて、アラド、フォッケウルフ、ハインケル、ヘンシェルの4社が参加し、ヘンシェル社が設計したのがHs 121です。この機体は、同社が手がけた最初の航空機でもあります。

この機体のデザインにおいては、ポーランドのPZL戦闘機を参考にし、特に円形のガル翼を胴体の上に高翼式に搭載しています。材質としては、フレームや外板に金属が用いられています。1934年1月4日には試作初号機のHs 121aが初めて空を飛びましたが、試験飛行を経る中で飛行の安定性が不十分であることが明らかになりました。その結果、操縦への反応も鈍く、開発は途中で中止されることとなったのです。

試作機は一度で終わることなく、製作中の試作2号機（Hs 121b）は再設計が施され、後に低翼機として完成したHs 125へと進化を遂げました。これにより、ヘンシェル社は新たな設計思想を反映させることが可能となりました。

Hs 121の性能諸元

• - 全長: 7.30 m
• - 翼幅: 10.00 m
• - 全高: 2.30 m
• - 翼面積: 14.00 m²
• - 自重: 710 kg
• - 全備重量: 960 kg
• - エンジン: アルグス As 10C 空冷倒立V型8気筒エンジン
• - 出力: 240 hp ×1
• - 最高速度: 277 km/h（海面上）
• - 巡航速度: 250 km/h
• - 航続距離: 496 km
• - 実用上昇高度: 6,500 m
• - 武装: 7.92mm機関銃 ×1
• - 乗員数: 1名（操縦士）

このように、Hs 121は短命に終わりましたが、その独特な設計と歴史的背景は航空機開発史の中での重要な一部とされています。関連機体にはFw 56やAr 76、He 74、Hs 125などが存在します。

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