Hs 297 (ロケット)

ヘンシェル Hs 297 フェーン

ヘンシェル Hs 297 フェーンは、第二次世界大戦中にドイツで開発された小型の地対空ロケットです。この兵器は、ドイツ軍が低空飛行する敵機に対抗するために設計され、基本的な設計はフリーガーファウストに似ていましたが、肩に担ぐ形式ではなく、発射台から発射するかたちが特徴です。

このロケットの口径は7.29cmで、全長は29.5cm、全重量は2.7kgです。発射は特別に設計されたラックを使用して行われ、35発（5x7）のロケットを装填可能で、一度に数発を発射することもできました。また、個別に発射することも可能で、射程は1,200mであり、直接照準には半円形状のバイザーが使用されました。

この兵器は、国民突撃隊で大量に配備されることから「Volk-Fla-R-Werfer」と呼ばれました。この名称は、「Volkssturm-Flugabwehr-Raketenwerfer（国民突撃隊対航空機ロケット発射器）」の省略形です。1945年2月には50基が配備され、兵員の訓練用として使用されました。

実際に使用されたのは、発射器のうち24基がレマーゲン地区に配置された「3./FlakLehruVersAbt 900 (o)」に割り当てられ、1945年4月2日には連合軍の航空機に対して初めて発射されました。その後、アメリカ軍がレマゲンのルーデンドルフ橋を奪取した際に、いくつかの発射器を押収しました。これらは一部が機密として分類されていたため、詳細は不明ですが、発射器が無傷であったとされています。

さらに、Hs 297フェーンは、有人式の垂直離床ロケット迎撃機であるBa 349ナッターに搭載されることも計画されていました。この機体の機首部分には24発のフェーンロケットを搭載した発射器が装着されていました。実戦には投入されなかったものの、このロケット兵器に関しては地上試験が広範囲に行われました。

また、ドイツ海軍でもこのロケットが採用され、軽量かつ反動が少ない特性から、主に駆逐艦や水雷艇、掃海艇といった小型艦艇の防空火力として活用されました。これにより、海上での対空能力が大きく向上したとされています。

参考文献

• - Bruene, Lothar, and Weiler, Jacob, Remagen in March 1945 - A documentary on the final phase of the World War II, Peace Museum Bridge at Remagen e. V. (ed.), Remagen 1993 ISBN 3-9803385-9-2, P. 68 f.
• - Bruene, Lothar, and Hamlet, Jacob (ibid.), p. 30 and 206 et seq.

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