水雷艇

水雷艇について

水雷艇（すいらいてい、英語: torpedo boat）とは、主に水雷兵器を搭載した小型艦艇であり、19世紀後半に現れました。この艦艇は後に競合相手となる敵水雷艇との交戦を任務にする駆逐艦へと進化し、次第に水雷艇に取って代わる存在となりました。水雷艇は外燃機関搭載の排水量型蒸気船であるのに対し、後に登場する魚雷艇は内燃機関を使用するモーターボート類であり、設計思想が明確に異なります。これらを表す「torpedo boat」という言葉が日本語に翻訳される際に混同されることがありますが、両者は異なる艦艇なのです。

歴史的背景

小型艦を使用して敵の大型艦を攻撃する海戦術は、古くから実施されてきました。例えば、帆船時代には強襲隊員を乗せた艦が敵の根拠地に突入し、停泊している艦隊を襲撃する戦法が採られました。これらの作戦は主に移乗攻撃を前提にしており、大型艦を攻撃するための艦艇もカロネード砲を搭載することがありましたが、対艦攻撃用というよりも火力支援に適していました。

しかし水雷兵器が進化することで、小型艇でも敵大型艦を攻撃できる可能性が生まれました。最初期の水雷兵器は外装水雷であり、小型艇の艦首から突き出た長い棒の先端に触発信管を装着した爆薬が取り付けられていました。その一例として、1864年に南北戦争の中で実戦投入された事例があり、合衆国海軍の小型ボートが敵艦を撃沈した結果をもたらしました。

また、1873年にはイギリスのソーニクロフト社がノルウェー海軍からの発注で世界初の近代的な水雷艇を建造しました。これは曳航水雷を装備しており、敵艦の進路上に水雷を設置する役割を果たしていました。この時期に自走水雷（後の魚雷）が登場し、これにより水雷艇はさらなる進化を遂げていきます。

水雷艇の進化と駆逐艦の誕生

1880年代には、各国海軍が水雷艇の建造を推進し始めました。その背景には、魚雷を使用することによって安価な小型艇でも大型艦を破壊できる可能性が関与していました。水雷艇は豪華に作られ、航洋性や航続距離の改善が図られ、次第に大型化していく傾向が見られます。多くの水雷艇が20ノット以上の速力で航行できるようになり、兵装も強化されました。

この動きに応じて、フランス海軍では魚雷を使用した戦術の研究が進展しました。結果として、1881年には国会が水雷艇70隻の建造を承認し、その後、さらに40隻が追加されました。さらに1890年代初頭には、世界中で800隻を超える水雷艇が運用されるようになりました。

水雷艇が普及していく中で、艦隊を防護するための必要性が高まりました。そこで、最初は水雷巡洋艦を基に、小型で迅速な艦艇が開発されましたが、限界もありました。1880年代末には水雷艇駆逐艦が誕生し、より高性能な艦艇として多くの国で採用されました。これにより、水雷艇は次第にその役割を駆逐艦に譲ることになります。

日本海軍でも、1900年には水雷艇を「駆逐艦」と改称し、以降の水雷艇は一部のものを除き建造されなくなりました。しかし、艦載水雷艇としてその機能を保持し続ける艦艇も存在しました。さらに第一次世界大戦中には、新しい形態の艦艇が登場し、戦術の進化に応じた運用が試みられました。

まとめ

水雷艇は歴史的に重要な役割を果たしてきた艦艇であり、小型駆逐艦としのうりょおを持ちながら、次第に駆逐艦へと進化していきました。その後の艦艇の設計や戦術にも大きな影響を与えています。各国の海軍においては、今でもその貴重な知識が引き継がれています。

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