Hs 298 (ミサイル)

ヘンシェル Hs 298

ヘンシェル Hs 298は、第二次世界大戦中にドイツのヘンシェル社によって設計されたロケット推進の空対空ミサイルです。このミサイルは、特に爆撃機を攻撃するために開発されており、空対空ミサイルとしての特化した設計がその特徴です。

設計・開発の背景

Hs 298は、ヘルベルト・ワーグナー教授の指導のもとに設計されました。初めての空対空ミサイルとして、爆撃機への効果的な攻撃を目的としており、ドルニエ Do 217やフォッケウルフ Fw190といった航空機に搭載するための発射レールが用意されました。ミサイル自体は約48キログラムの爆薬を搭載しており、その設計は合理的かつ戦術的に優れています。

外観としては、Hs 298は先端に後退翼を持つ中翼の単葉機という形状をしており、対になった垂直安定板と1つの水平安定板が特徴的です。動力としてはヘンシェル社設計のSchmidding 109-543ロケットエンジンを使用しており、その性能は高いことが知られています。

発射と性能

発射時には2段階の挙動を示し、最初の段階では航空機から離れる際に時速938キロメートルに達します。次の段階では約1.6キロメートルの射程を持つために、時速682キロメートルまで減速します。加えて、FuG 203電波誘導システムを使い、発射時の正確な目標を臨むことが可能です。このシステムは、機首に取り付けられたスクリュー駆動の発電機によって電力が供給されていました。

このミサイルを発射するためには、航空機に2人の乗員が必要であり、一人は照準器を使って目標を捉える役割、もう一人は操縦桿を操作しミサイルを飛ばす役割を担当しました。

試射とその結果

Hs 298は1944年12月22日にユンカースJu-88Gによって試射されました。この試射では3発のミサイルが搭載されましたが、実際に発射に成功したのは2発のみで、残る1発は発射レールに残ったままでした。発射に成功したミサイルのうち1発は、発射後すぐに爆発し、地面に向かって急降下。残念ながら、1945年1月には大量生産が予定されていましたが、同様の空対空ミサイルであるルールシュタール X-4の方が支持を集め、プロジェクトは断念されることとなりました。

現存と諸元

現在、Hs 298の中の一つはイギリスのコスフォード空軍博物館に展示されています。具体的な諸元としては、翼幅が1.24メートル、全長が2.06メートル、そして重量は120キログラムです。また、発射速度は時速938キロメートル、巡航速度は時速682キロメートルです。

このように、ヘンシェル Hs 298は戦争の一時期において、革新的な技術を持つ空対空ミサイルとして、その設計と性能が評価されています。

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