Hummingbird in Forest of Space

「Hummingbird in Forest of Space」は、日本のミュージシャン、吉井和哉が2007年に発表した4枚目のオリジナル・アルバムです。前作から約1年ぶりに届けられたこの作品には、すでに発表されていた3枚のシングル楽曲が収められています。

アルバム仕様

本作は通常盤に加え、初回限定盤として特典DVDが付属し、紙ジャケット仕様でリリースされました。また、リリースから約1ヶ月後の2007年 12月19日には、初回生産限定となる2枚組アナログ盤も発売されています。

収録曲と楽曲解説

アルバムは全13曲で構成されており、それぞれに個性的な世界観が描かれています。以下に、特に興味深いエピソードを持つ楽曲をいくつか紹介します。

Introduction
アルバムの幕開けを飾るインストゥルメンタル曲です。吉井自身のデモ音源を、ナイン・インチ・ネイルズなどを手掛ける著名なエンジニア、ダニー・ローナーがコラージュワークによって再構築しました。

Biri
タイトルの『Biri』は、仮歌の段階で口ずさまれたフレーズが元になっています。通常であれば人名の「ビリー」とするところを、あえて「ビリっけつ」から取ったと吉井自身が語っています。曲調は彼曰く「ディスコチューン」とのこと。2009年のツアーを最後に演奏されていませんでしたが、「THE SILENT VISION TOUR」にて実に11年ぶりに披露され、ファンを驚かせました。

シュレッダー
本作からの先行シングル第3弾であり、アルバムに収録される楽曲の中で最も最後に作曲されたナンバーです。

上海
吉井自身が「SEXの歌」と表現している楽曲。シングル「シュレッダー」のカップリングには、ボーカルの別テイクバージョンが収録されています。

ルーザー
アルバムには「Winner」（勝者）と「Loser」（敗者）という対照的なタイトルの楽曲が収録されています。吉井自身、後になってこのことに気づいたそうですが、歌われているテーマは正反対のタイトルとは異なり、同じであると述べています。

ワセドン3
この曲のタイトル「ワセドン」も、「Biri」と同様に仮歌のフレーズをそのまま採用しています。そのフレーズからインスピレーションを得て、森に住む架空の生物を歌った楽曲へと発展しました。

Shine and Eternity
先行シングル第2弾としてリリースされた楽曲です。吉井がロサンゼルス滞在中に、街中で聴こえてきたビヨンセやアヴリル・ラヴィーンといったアーティストの楽曲に触発され、「自分もああいった構成の曲を作りたい」と思って制作されたといいます。

バッカ
アルバムリリース後、後にシングルカットもされた楽曲です。

Winner (Album Version)
先行シングルのアルバムバージョンです。このバージョンでは、ギターをジュリアン・コリエルが、ドラムをジョシュ・フリーズがそれぞれ改めてレコーディングしています。

マンチー
タイトルの由来は、スナック菓子などを意味する英語の「Munchies」であるとされますが、この単語には特定の状況下での過剰な食欲を指す俗語としての側面もあります。歌詞の内容はその俗語的な意味合いに近いものとなっており、普段あまり作品について意見しないという吉井の母親から「マンチーとはなんだ！」と叱られたというエピソードも明かされています。なお、このアルバムに収録されているバージョンは、シングル「Shine and Eternity」のカップリングに収録されていたものとは異なり、収録時間を短くしたエディットバージョンです。

* 雨雲
歌詞がわずか5分という短時間で書き上げられたというエピソードを持つ楽曲です。

参加ミュージシャン

本作の制作には、吉井和哉（ボーカル、ギター、ベース、キーボード、パーカッション）に加え、ダニー・ローナー、ジュリアン・コリエル、ジャスティン・メルダル・ジョンセン、クリス・チェイニー、ジョシュ・フリーズ、ビクター・インドゥリゾー、鶴谷崇、パトリック・ウォーレン、JEREMY RUZUMNA、JASON VILLAROMAN、EIGHTY BUG + ELLE Bといった国内外の著名なミュージシャンやエンジニアが多数参加しています。彼らとの協業により、アルバムは多様で実験的なサウンドに彩られています。

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