I STAND ALONE

松たか子 シングル「I STAND ALONE」詳細解説

1997年5月21日、BMGジャパンより発売された松たか子の2枚目のシングル「I STAND ALONE」は、彼女自身の音楽キャリア、そして日本の音楽シーンにおいて重要な位置を占める作品です。

楽曲「I STAND ALONE」

この楽曲最大の特徴は、70年代後半の音楽制作スタイルを現代に再現しようというコンセプトに基づいて制作された点にあります。サウンドプロデュースは日向大介氏が担当し、レトロな雰囲気と現代的な感性を融合させた、独特のサウンドスケープを作り上げています。

さらに特筆すべきは、松たか子本人が初めて本格的な作詞に挑戦した点です。楽曲タイトル「I STAND ALONE」は、アル・クーパーの同名アルバムから引用されており、このタイトルが持つ意味深長な雰囲気と、松たか子の繊細な詞世界が見事に調和しています。

ミュージックビデオは、映画監督として知られる岩井俊二氏が手掛けています。CMでは自転車に乗って街を走るシーンが予定されていましたが、松たか子が自転車に乗れなかったため、最終的には自転車を押して歩くシーンを中心に構成されました。このエピソードからも、作品に込めたリアルな感情が伝わってきます。

音楽評論家の永山耕三氏は、「現代の10代が終わる時の子の感じが非常によく出ている」「健気な少女が1人立ち尽くしている絵が見える」と、この楽曲の持つ独特の雰囲気と、松たか子の表現力を高く評価しています。

カップリング曲「lovesick」

カップリング曲「lovesick」は、作詞を前田たかひろ氏が担当。「一番最先端の格好良い音楽」「ブラックミュージックのリズムを入れる」というコンセプトのもと制作され、洗練されたサウンドと、力強いリズムが特徴です。

永山耕三氏は、「彼女のメロディへの言葉の乗せ方に、ボーカリストとしての優秀さが出ていて格好良い」と、松たか子のボーカルパフォーマンスを絶賛しています。この曲は、「I STAND ALONE」とは対照的な、現代的なサウンドが魅力です。

収録アルバム

「I STAND ALONE」は、数多くのアルバムに収録されています。代表的な作品としては、『空の鏡』(1stアルバム, 2ndアルバム),『Five years 〜singles〜』(シングルコレクション),『footsteps 〜10th Anniversary Complete Best〜』(ベストアルバム)などが挙げられます。それぞれのアルバムにおいて、楽曲が持つ意味合い、そして作品全体の構成における役割が異なっており、聴き比べることで新たな発見があるでしょう。

タイアップ

「I STAND ALONE」は、セイコーの腕時計ブランド「LUKIA」のCMソングとして起用されました。CM映像と楽曲の世界観が融合し、大きな話題を呼びました。

まとめ

「I STAND ALONE」は、70年代後半のサウンドを現代風にアレンジした楽曲、松たか子初の本格作詞、岩井俊二監督によるMV、そしてセイコー「LUKIA」CMソング起用など、様々な要素が絡み合い、完成度の高いシングルとして完成しました。松たか子のアーティストとしての才能、そして音楽制作における様々なプロフェッショナルの技が結集した、まさに珠玉の一曲と言えるでしょう。このシングルは、松たか子の音楽史における重要なマイルストーンであり、日本の音楽シーンにも大きな影響を与えたと言えるでしょう。今後の音楽活動においても、この作品が持つ精神は受け継がれていくことでしょう。

もう一度検索