I級駆逐艦 (2代)

I級駆逐艦について

I級駆逐艦（英語: I-class destroyer）は、イギリス海軍の駆逐艦の一形式で、1935-6年度に9隻が建造されました。この艦級は、G・H級を基に水雷兵器の強化を目的として設計されており、初代の艦であるイントレピッド（HMS Intrepid）がネームシップとされています。また、トルコ海軍もこの艦級に準じた設計で4隻を建造し、うち2隻は第二次世界大戦の開戦に伴いイギリス海軍に編入されました。

1. 来歴

イギリス海軍では1924-5年度から駆逐艦の建造を再開しました。まず、第一次世界大戦を経た教訓を元に、新たな技術を取り入れたプロトタイプ艦であるアマゾンとアンバスケイドを建造し、その後1927-8年度に量産型のA級、次いで小改正型のB級が続きました。大型化を進めたC級、そして対潜戦に特化したD級も建造され、これらは好評を得ました。

その後、1931-2年度には艦砲を改良したE級、1932-3年度には水雷兵器を更新したF級が建造され、さらに艦艇の拡張強化が進められました。しかし、ロンドン海軍軍縮条約により艦型の抑制が求められる中、1933-4年度には機関部分の設計変更を経てG級が誕生し、翌年のH級へと続く形となりました。I級駆逐艦は、このG・H級を基により強力な水雷兵器を搭載した艦艇として開発されました。

2. 設計

設計はH級を大筋で引き継いでおり、機関構成も同様となっています。アドミラルティ式3胴型水管ボイラーとパーソンズ式オール・ギヤード・タービンを基本としつつ、一部の艦にはラモント式ボイラーが搭載されていました。これにより、艦艇の重量とスペースの削減が図られましたが、効率面では課題が残りました。

3. 装備

I級駆逐艦は、H級と同様に45口径12cm砲（QF 4.7インチ砲Mk.IX）4門を搭載し、仰角40度の両用砲として運用される予定でした。対空射撃用の装置搭載も考慮されていましたが、実現には至りませんでした。また、従来通りの艦級では1艦あたりの艦砲数を維持する傾向があり、指揮艦はさらに弾薬を増やす設計となりました。

水雷兵器についても従来の4連装21インチ魚雷発射管から5連装へと強化され、特に夜戦においての攻撃の効率化が求められたためです。また、対潜戦においてはASDICと爆雷投射機、対機雷戦用の掃海具も搭載されました。戦争勃発後は、一部の艦が護衛駆逐艦に改装され、多様な戦術に対応するようになりました。

4. 同型艦とトルコ海軍の関係

I級駆逐艦は、導艦1隻を含む合計9隻が建造される予定でしたが、戦争中によって5隻が戦没、また1隻が衝突事故によって失われました。トルコ海軍は1938年にI級の準同型艦「デミルヒサル級駆逐艦」を4隻発注し、これらもほぼオリジナルと同じ性能を有していましたが、魚雷発射管のみが減設される変更がありました。2隻がイギリス海軍に編入され、残り2隻は1942年にトルコ海軍へ引き渡されました。

I級駆逐艦は、その強化された水雷兵器と多様な設計思想により、第二次世界大戦において重要な役割を果たした艦級となりました。

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