IBCスタジオ

IBCレコーディング・スタジオ：音楽史を彩った伝説の場所

IBCレコーディング・スタジオ（IBC Recording Studios）は、かつてイギリス、ロンドンのポートランド・プレイス35番地に位置していました。IBCとは、International Broadcasting Companyの略称です。1960年代から1970年代にかけて、数多くの著名なアーティストたちがレコーディングに利用し、国際的な名声を得るに至りました。

チャス・チャンドラーによる買収と改名

1970年代後半には、チャス・チャンドラーがスタジオを買収し、ポートランド・レコーディング・スタジオへと改名しました。このスタジオには、ジョージ・ペッカムが運営する編集室（ポーキー・プライム・カッツ）や、ラジオコマーシャルの録音・制作を専門とするレディオトラックス・スタジオも併設されていました。その後、スタジオはドン・アーデンに買収され、彼の息子であるデヴィッド・アーデンに引き継がれました。

デニス・キングの監督下での独自機材開発

IBCの最盛期には、デニス・キングの監督のもと、数多くの独自の設備が開発・製造されました。その中でも特筆すべきは、1970年代初頭に設計された4チャンネルステレオ・ミキシング・デスクです。このデスクは、建物が所有者の手を離れた1980年代後半に至るまで使用されていました。4チャンネルステレオの可能性を最大限に引き出すために開発されたこのデスクは、残念ながら普及することはありませんでしたが、当時の音楽シーンを先駆けた存在として記憶されています。また、ギルドホールで開催されたロンドン市長800年記念式典のような大規模イベントのサウンドトラック制作にも使用されました。

現在、大規模なミキシングデスクは解体され、現存していません。しかし、1958年頃に製造された小型の完全トランジスタ化デスクは、個人の手に渡り、大切に保管されています。このデスクは、1960年にロニー・ドネガンのヒット曲「マイ・オールド・マンズ・ ア・ダストマン」のレコーディングに使用されました。

現在のIBCレコーディングスタジオ

現在、スタジオはホログラム会社のミュージオンによって所有されています。ホログラム技術を実演するスペースとして活用されており、ホログラム映像を用いた放送シーンの収録などが行われています。マドンナがグラミー賞に出演した際にも、このシステムが使用されました。

外部リンク

IBCスタジオのディスコグラフィ - Discogs
Musion.com - Musion das Hologram worldwide home site

IBCレコーディング・スタジオは、その短い活動期間の中で、音楽史に大きな足跡を残しました。革新的な技術と才能ある人々が集結したこの場所は、これからも伝説として語り継がれていくことでしょう。

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