IBM 1800

IBM 1800 データ収集制御システム (DACS)

IBM 1800データ収集制御システム（DACS）は、1965年にIBM社によって発表されたプロセス制御用コンピュータです。このシステムは、IBM 1130システムの命令セットに特定のプロセス制御用の命令を追加したもので、商業や工業分野におけるプロセスの自動化に重宝されました。IBM 1800は、工場などの生産設備における自動運転システムを実現するために設計されており、プログラムの変更には主に紙テープ読取装置が使用されていました。

構成と仕様

IBM 1800 DACSは、主に以下のコンポーネントで構成されています:

• - IBM 1801または1802プロセッサーコントローラー: オペレーター・パネルを備え、中心的な制御を行います。
• - D/Aコンバーター: デジタル信号をアナログ信号に変換します。
• - A/Dコンバーター: アナログ信号をデジタル信号に変換します。
• - IBM 1816プリンター・キーボードシステム: データ入力と出力を行います。
• - 各種入出力装置: 紙テープ読取装置やプレーン・プリンター、磁気テープ装置など。

また、IBM 1800はSLT（Solid Logic Technology）を採用し、16ビット・データ・ワードを基本としたワードマシンです。メモリのサイズは4Kから32Kワードまでのモデルがあり、コア・ストレージは高いパフォーマンスを持っていました。このシステムは、アナログ・デジタル変換機能やプロセス入出力能力をホテルのラックに容易に装着できる設計となっています。

歴史と発展

IBM 1800は、科学計算用のIBM 1620システムから派生したプロセス制御用コンピュータであるIBM 1710の後継機として登場しました。工場の自動化のニーズに応えつつ、さらなる技術革新を追求した結果、IBM 1800は後にIBM System/7などの新しい機種へとつながりました。

製造はカリフォルニア州サンノゼの工場で行われ、国内外で数多くのシステムが設置されました。特に日本では、1971年に川崎製鉄の千葉製鉄所に設置された例や、特定の通信衛星プロジェクトに活用された事例などがあります。

応用と影響

IBM 1800は主に化学、製鉄、製薬業界などのプロセス工業で利用されました。これにより、生産効率の向上や品質管理の改善が実現されました。日本国内でも複数のユースケースがあり、特に自動化が進む工場選びに重宝されました。また、2008年にはカナダのピカリング原子力発電所においても稼働している姿が確認されています。

さらに、IBM 1800はその堅牢な設計と優れた性能により、長年にわたって信頼性の高いプロセス制御ソリューションとして評価されています。これにより、IBMのコンピュータ技術が産業界に多大な影響を与えたことは間違いありません。

まとめ

IBM 1800データ収集制御システムは、設計から実用化までの過程において、多くの産業に革新をもたらしました。今もなお、過去の技術としてだけではなく、さまざまな事例でその実績が生き続けています。

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