IBM 3800

IBM 3800プリンター：黎明期のレーザープリンター

IBM 3800プリンターは、1975年にIBMが発表した画期的なレーザーラインプリンターです。このプリンターは、IBM初のレーザープリンターであり、連続用紙に印刷する初のレーザープリンターという2つの重要な特徴を持っていました。当時としては非常に先進的な技術が導入され、印刷業界に大きな変革をもたらしました。

開発の背景

IBM 3800の開発は1969年に始まりました。当時、IBMはレーザープリンターに関する技術をほとんど持っておらず、唯一近い技術としてはIBMコピアが存在する程度でした。しかし、IBMコピアは月間100万ページの印刷という目標を達成するには、技術的に大きく不足していました。このような状況の中、IBMはレーザー技術を応用した高速プリンターの開発に乗り出したのです。

IBM 3800は1976年に発表されましたが、この時期はレーザープリンターの黎明期であり、1977年にはゼロックスがXerox 9700を発表しています。この2つのプリンターは、共に初期のレーザープリンターとして知られていますが、大きな違いは印刷用紙の種類にありました。IBM 3800が連続用紙を使用していたのに対し、Xerox 9700はカットシート（単票）に印刷していました。

各モデルの特徴

IBM 3800 モデル1

1975年に発表され、1976年に出荷された最初のモデルです。印刷解像度は縦144ペル、横180ペルで、毎分10,020～20,040行の印刷速度を実現しました。当時としては非常に高速な印刷能力を誇り、大量の印刷物を効率的に処理することができました。

IBM 3800 モデル2

1979年に発表されたモデル2は、IBM漢字システムの拡張として登場しました。日本語の印刷に対応し、IBM 2245漢字プリンターの後継機種という位置づけです。このモデルの登場により、日本語環境でのレーザープリンターの利用が大きく進みました。

その他のモデル

IBM 3800シリーズには、他にもモデル3（1982年）、モデル6（1987年）、モデル8が存在します。モデル8はモデル6からのアップグレードも可能で、モデル2の後継機種としても位置づけられます。モデル8は、より多くの漢字をより高い精度で、より高速に印刷できる能力を持っていました。

開発と製造

IBM 3800シリーズは、カリフォルニア州のサンノゼにあるIBMの施設で開発・製造が始まりました。1980年代には、製造拠点はアリゾナ州のツーソンに移されました。また、海外ではスウェーデンのヤーファラにあるIBMの工場でも製造が行われていました。

後継機種

IBM 3800プリンターの後継機種として、IBMは日立製作所と提携し、OEM供給を受ける形でIBM 3900プリンターを1990年に発表しました。IBM 3900プリンターは1991年に最初の出荷が行われ、IBM 3800シリーズの技術と経験を受け継ぎ、さらなる進化を遂げました。

まとめ

IBM 3800プリンターは、レーザープリンター黎明期における重要な製品の一つであり、その後のレーザープリンター技術の発展に大きな影響を与えました。連続用紙印刷という特徴を持ちながら、高速かつ高精度の印刷を実現し、大量の印刷物を扱う企業にとって必要不可欠な存在となりました。IBM 3800シリーズは、複数のモデルを通じて機能と性能を向上させ、日本語印刷にも対応することで、幅広いニーズに応えてきました。また、日立製作所との提携を通じて後継機種が開発されたことからも、その技術が現代にも引き継がれていることが分かります。

[関連情報]

• - レーザープリンター

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