IEEE Standards Association

IEEE Standards Association（IEEE-SA）とは

IEEE Standards Association（IEEE-SA）は、電気電子技術分野における世界最大規模の学会であるIEEE（Institute of Electrical and Electronics Engineers）の内部組織です。IEEE-SAは、電力やエネルギー開発、医療、情報技術、ロボット、電気通信、ホームオートメーション、交通、ナノテクノロジー、情報セキュリティなど、非常に広範な分野における工業規格の策定を専門としています。この組織は、技術革新を促進し、異なる技術間の相互運用性を確保するために不可欠な役割を担っています。

IEEE-SAは、1世紀以上にわたり、公平性、開放性、コンセンサスを重視したプロセスを通じて、工業規格を策定してきました。世界中から集まる技術専門家たちが、IEEE規格の策定に貢献しており、その結果、国際的に広く採用される規格が数多く生まれています。

IEEE-SAの立ち位置

IEEE-SAは、政府によって正式に承認された標準化団体ではなく、技術者コミュニティとしての側面が強い組織です。ISO（国際標準化機構）、IEC（国際電気標準会議）、ITU（国際電気通信連合）などの国際標準化組織とは異なり、IEEE-SAは国家標準化組織（アメリカのANSI、ドイツのDIN、日本のJISCなど）の連合体ではありません。そのため、IEEE-SAが策定する規格は、法的拘束力を持つものではありませんが、技術的な信頼性と相互運用性を確保するための事実上の標準として広く認識されています。

主な規格

IEEE-SAが策定した規格は多岐にわたりますが、その中でも特に重要なものとして以下のような規格が挙げられます。

IEEE 488：通称GP-IB（General Purpose Interface Bus）と呼ばれる計測機器制御用のインターフェース規格です。
IEEE 754：浮動小数点演算に関する標準規格で、コンピュータにおける数値計算の精度を保証します。
IEEE 802：ローカルエリアネットワーク（LAN）、メトロポリタンエリアネットワーク（MAN）、パーソナルエリアネットワーク（PAN）など、ネットワーク技術に関する一連の規格群です。
IEEE 802.1X：LAN接続時の認証規格で、ネットワークセキュリティの基本となります。
IEEE 802.3：有線LAN規格であるイーサネットの規格です。様々な伝送速度やメディアに対応した派生規格が存在します。
IEEE 802.3u：100BASE-TX（100Mbpsの高速イーサネット）
IEEE 802.3ab：1000BASE-T（1Gbpsのギガビットイーサネット）
IEEE 802.3an：10GBASE-T（10Gbpsの10ギガビットイーサネット）
IEEE 802.11：無線LAN（WLAN）の規格で、Wi-Fiとして広く知られています。a/b/g/j/nなどの派生規格があります。
IEEE 802.15：無線PAN（WPAN）の規格で、Bluetoothなどが含まれます。
IEEE 802.15.1：Bluetoothの規格です。
IEEE 802.15.3a：超広帯域無線（UWB）の規格です。（2006年に標準化が中止）
IEEE 802.16：無線MAN（WMAN）の規格で、WiMAXなどが含まれます。
IEEE 802.16e：モバイル無線MANの規格です。
IEEE 1003：POSIX（Portable Operating System Interface）規格で、UNIX系OSの標準インターフェースを定めます。
IEEE 1076：VHDL（VHSIC Hardware Description Language）規格で、ハードウェア記述言語です。
IEEE 1149.1：JTAG（Joint Test Action Group）規格で、集積回路のテストインターフェースを定めます。
IEEE 1275：Open Firmware規格で、コンピュータのファームウェアインタフェースを定めます。
IEEE 1284：コンピュータとプリンターの接続に関する規格（プリンタポート）です。
IEEE 1364：Verilog規格で、ハードウェア記述言語です。
IEEE 1394：FireWire（i.LINK、DV端子）規格で、高速シリアルバスです。
IEEE 1541：2進接頭辞に関する規格です。
IEEE 1800：SystemVerilog規格で、ハードウェア記述および検証言語です。
IEEE 1888：UGCCNet規格です。

これらの規格は、技術開発の基礎となる重要なものであり、業界における相互運用性や品質向上に大きく貢献しています。

規格のバージョン表記について

IEEE規格には、末尾にアルファベットが付与された派生規格が存在します。これらは、元の規格を拡張または改良したものであり、例えば、IEEE 802.3uやIEEE 802.3abは、IEEE 802.3の拡張規格です。これらの派生規格は、最終的に元の規格に統合されるため、厳密性を期す場合には規格の制定年を併記することが推奨されます。

外部リンク

IEEE Standards website
IEEE JTAG 1149.x Standards

これらの情報源は、IEEE-SAの活動や規格に関するより詳細な情報を提供しています。

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