III/IV号戦車

III/IV号戦車の概要

III/IV号戦車（Panzerkampfwagen III/IV）は、第二次世界大戦後期のドイツ国防軍の中で開発された中戦車であり、第二次世界大戦の激しい戦局を背景に誕生しました。この戦車は、主にIII号戦車とIV号戦車の統合を目指し、製造や保守、運用の効率化を図ったものですが、量産には至りませんでした。

開発の背景

1941年、ドイツ軍は新たな自走砲の開発に着手します。この際、III号戦車とIV号戦車のコンポーネントを使用した自走砲車台であるゲシュッツワーゲンIII/IV（Geschützwagen III/IV）が開発されました。この自走砲車台は、15cm sFH18榴弾砲を搭載したフンメル自走榴弾砲や、対戦車砲のナースホルン自走対戦車砲の製造に使われました。加えて、主砲の取り外しが可能な自走砲ホイシュレッケも開発されましたが、戦車型の統合はこの時点では進みませんでした。

戦車型の開発承認

1944年初頭に、III号戦車とIV号戦車のコンポーネントを流用した戦車タイプの開発が正式に承認されます。計画された仕様は以下の通りです。

• - エンジン：III号戦車およびIV号戦車と同じマイバッハ製HL120TRMを搭載
• - 変速機：ZF製SSG 77を搭載
• - サスペンション：IV号戦車に似たリーフスプリング方式で片側に3組を使用
• - 転輪：直径660mmの新型で、片側6個配置
• - 起動輪：III号戦車の強化されたドライブシャフトを使用
• - 履帯：幅540mmの新型
• - 車体：傾斜装甲を採用し、前面装甲は60mm、側面は50mm
• - 砲塔：IV号戦車J型に比較的大きく、主砲はIV号戦車と同じ7.5cm KwK40/L43であるが、砲塔旋回は270°に制限されました。

このような設計により、III/IV号戦車は新たな戦闘能力を持つことが期待されました。

IV号駆逐戦車との関係

同時期に開発が進められていたIV号駆逐戦車については、III/IV号戦車の車台を利用する計画も立てられていました。この車両は、最初に「III/IV号駆逐戦車」と呼ばれ、その後「IV号戦車/70(E)」と名付けられました。「E」は「Einheitsfahrgestell」（統合型車台）を意味し、III/IV号戦車の車台とIV号戦車/70(V)「ラング」の戦闘室を結びつける構造が計画されていました。

1944年3月には試作車が承認されましたが、同年7月12日にはIII/IV号戦車の開発計画が中止されます。これは、ソ連軍の新型戦車との交戦経験から、III/IV号戦車が持つ能力が不足しているとの判断が下されたためです。

最終段階の展開

IV号戦車/70(E)の試作車の開発は継続され、その一部がフンメルやナースホルンの車台に取り付けられた記録が残されています。しかし1944年10月には、新たに開発する自走砲車台については38(t)、パンター、ティーガーを基盤にするよう指示が出され、IV号戦車/70(E)の開発も終了しました。

結論

III/IV号戦車は、ドイツ国防軍の新しい戦車開発の試みの一部として興味深い存在ですが、戦局の変化や新たな要求仕様により、量産には至らなかった運命を辿りました。その過程の中で、さまざまな設計や開発が繰り広げられたことは、戦車技術における重要な一歩として評価されています。

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