IKUSA

IKUSA（イクサ）は、2002年に日本で設立されたキックボクシング団体です。株式会社アクアプラネットがその運営母体となりました。

団体の歴史は、2002年6月16日に東京・麻布十番のCLUB Byblosで開催された旗揚げイベント「IKUSA -初陣-」に始まります。この記念すべき興行では、プロデューサーを務め、新空手の有段者でもあった新田純一が、チャモアペット・チョーチャモアンとのエキシビションマッチに臨みました。しかし、この試合で新田はチャモアペットの膝蹴りによって肋骨を折るというアクシデントに見舞われています。旗揚げ戦のメインイベントには、大宮司進や隼人といった当時の有力選手が出場し、団体の船出を飾りました。

IKUSAの大きな特徴の一つは、その独特の興行スタイルにありました。従来の格闘技イベントが体育館やアリーナを主に使用するのに対し、IKUSAはクラブやライブハウスなどを会場に選ぶことが多かったです。これにより、DJやVJによる音楽、レーザー光線、照明を駆使した派手な演出を取り入れ、格闘技ファンだけでなく、若年層を中心とした新たな観客層を惹きつけようとしました。単なる試合観戦にとどまらない、エンターテイメント性の高い空間を作り出すことに成功したと言えます。また、試合前のホラガイの吹き鳴らしなど、和風の要素を取り入れた演出も特徴的で、他の団体にはない個性的な雰囲気を醸し出していました。

しかし、団体の歴史の中では運営上の混乱も経験しています。特に2005年6月18日にZepp Tokyoで開催された「IKUSA GP -U60 SUPERSTAR☆Z TOURNAMENT - Opening Stage -」では、複数の問題が発生しました。大会の注目カードの一つであったHAYATΦ対輝浪戦では、ジャッジの採点に誤りがあり、試合後に裁定が覆るという異例の事態となりました。当初は延長ラウンドの判定でHAYATΦの勝利とされましたが、集計ミスが判明し、本戦での判定結果に基づき輝浪の勝利に訂正されました。さらに、この大会のために新調されたリングマットが試合に不向きなほど滑りやすかったため、急遽古いマットを使用せざるを得なくなり、新スポンサーのPR機会を損失しました。また、第4試合の直前には、予定されていたKAWASAKI対歌川暁文の選手紹介映像ではなく、全く別の山本真弘対小石原勝の映像が流れるというミスもあり、大会進行に支障をきたしました。これらの運営上の問題の責任を取り、当時のプロデューサーである小澤進剛氏が辞任する事態に至っています。

IKUSAは独自の王座も認定していました。その名は「戦王（いくさおう）」と称され、女子の王座は「戦女王（いくさじょおう）」と呼ばれました。他の格闘技団体がチャンピオンベルトを授与するのに対し、IKUSAでは王者に日本刀が贈られるというユニークな形式を採用していました。設定されていた階級は、男子が60kg級と70kg級、女子が50kg級です。階級名には「U」（Under）が冠され、例えば60kg級は「U60戦王（アンダーシックスティいくさおう）」と名付けられていました。

このように、IKUSAは従来の格闘技界にはない斬新な演出やユニークな王座システムを取り入れ、一時期注目を集めた団体でした。運営上の課題もありましたが、その個性的なスタイルは今でも語られることがあります。

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