IMI plc

IMI plc（旧社名：インペリアル・メタル・インダストリーズ）は、イギリス・バーミンガムに本社を置く、世界的に事業を展開するエンジニアリング企業です。その歴史は1862年、スコットランドの実業家ジョージ・カイノックがウェスト・ミッドランズのウィットンに銃用雷管の製造工場を設立したことに始まります。

当初は銃用雷管製造一筋でしたが、1884年以降は事業を多角化し、石鹸や自転車部品、そして非鉄金属へと事業領域を広げていきました。20世紀初頭には金属製品が中心となり、第一次世界大戦後はノーベル・インダストリーズとの合併を経て、成長を続けました。1927年にはインペリアル・ケミカル・インダストリーズ（ICI）の主要事業の一つとなり、「ノーベル・エクスプロースィブ」として知られるようになります。ウィットン工場はICIメタルの本社となり、1950年代にはチタンの商業生産プロセスを確立するなど、技術革新にも積極的に取り組んできました。

1962年、創業100周年を記念して社名を「インペリアル・メタル・インダストリーズ（IMI）」に変更。1966年にはロンドン証券取引所に上場し、その後1978年にはICIから完全独立を果たしました。

IMIの成長を大きく支えたのが、1972年のノルグレン（Norgren）社、1981年のシーシーアイ（CCI）社の買収です。これらアメリカ合衆国の企業買収は、IMIの事業の柱となる空圧調整機器、制御弁事業を確立する上で大きな役割を果たしました。一方、1990年代には金属溶解などの従来事業を売却するなど、事業ポートフォリオの見直しも行い、2003年には本社をウィットンからバーミンガムに移転しました。そして2013年には、10年にわたる事業変革が完了。非中核事業を売却し、制御用バルブ事業を中心としたビジネスモデルへと転換を遂げました。

現在、IMI plcは大きく3つの事業部門で構成されています。売上高比率は、クリティカルエンジニアリングが36％、プレシジョンエンジニアリングが48％、ハイドロニックエンジニアリングが16％となっています。

クリティカルエンジニアリング部門は、火力・原子力発電、石油・ガス、鉄鋼産業など、社会インフラを支える産業向けのバルブや制御弁の製造・販売、アフターサービスを提供しています。これはかつてのCCI社を起源とする部門です。

プレシジョンエンジニアリング部門は、商用車、ライフサイエンス、鉄道関連など幅広い分野を対象に、アクチュエータや産業用モーション制御、流量制御バルブなどを提供しています。ノルグレン社を起源とするこの部門はIMI plc最大の部門であり、西欧諸国と北米で売上の7割を占めています。

ハイドロニックエンジニアリング部門は、空調関連の制御機器の製造・販売、アフターサービスを担当しており、ヨーロッパ諸国が売上の7割を占めています。

日本においては、IMIジャパン株式会社が事業を展開しています。かつてはシーシーアイ株式会社という社名でしたが、2019年に現社名に変更しました。IMIジャパン株式会社はクリティカルエンジニアリング事業部とプレシジョンエンジニアリング事業部の2つの事業部を持ち、それぞれ神戸市中央区、大阪府豊中市に拠点を構えています。なお、同名の企業が複数存在することに注意が必要です。

IMI plcは、長年にわたる技術革新と事業変革を通じて、世界中の産業の発展に貢献し続けているグローバルなエンジニアリング企業です。その歴史と技術力は、現代社会のインフラを支える上で重要な役割を果たしています。

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