INTO THE LIGHT

ギタリスト・ボーカリストである米川英之が、ソロアーティストとして2000年11月21日に発表した通算4枚目のオリジナルアルバムが『INTO THE LIGHT』（イントゥ ザ ライト）です。

本作は全12トラックで構成されており、その内訳は歌唱を伴うボーカル楽曲が6曲、演奏のみのインストゥルメンタル楽曲が6曲となっています。歌と演奏、両面における米川の音楽性をバランス良く提示するアルバムと言えるでしょう。

収録曲の中には、特筆すべきエピソードを持つ楽曲がいくつか含まれています。

Sand Castle

トラック2に収録されているインストゥルメンタル楽曲「Sand Castle」は、発表当時、三洋電機の携帯電話において標準の着信メロディ（登録メロディ）の一つとして採用されました。キャッチーで耳馴染みの良いメロディラインは、多くの携帯電話ユーザーに聴かれ、アルバム収録曲でありながら幅広い層にその存在が知られるきっかけとなりました。

想い出にかわる季節

トラック5に収められている「想い出にかわる季節」は、1993年にリリースされた米川の2ndシングル「同窓会」の原型となった楽曲です。この楽曲は、シングルとして発表されるよりも以前から、米川のライブステージで頻繁に演奏されており、ファンの間では既によく知られた、愛着のある一曲でした。ライブでの手応えを経て、満を持してアルバムに収録されることになった経緯がうかがえます。

Rising（シークレットトラック）

アルバムの最終トラックであるトラック12には、「Rising」という楽曲がシークレットトラックとして収録されています。発表当初、この楽曲は隠しトラックという位置づけであり、CDの歌詞カードにのみ正式なタイトルである「Rising」が記載されていました。ブックレットやCD盤面、バックインレイなど、歌詞カード以外の場所では『・・・・・・・・・』という伏せ字で表記され、リスナーに発見を促すような演出がなされていました。しかし、時代が移り変わり、音楽鑑賞の主流がCDからデジタル配信へと移行する中で、この楽曲の扱いも変化しました。2018年に米川の主要なソロ作品群（当時の最新作であった8thアルバムまでのアルバム、2ndから5thまでのシングル）がApple Musicをはじめとする主要な音楽配信サービスで一斉に配信開始された際、この「Rising」は『Secret Track (Rising)』という形式で正式なタイトルが明記された上で提供されることになりました。これにより、長らく隠されていたこの楽曲のタイトルが、より多くのリスナーに認識されることとなりました。

『INTO THE LIGHT』は、米川英之のソロキャリアにおける多様な側面を示しながら、当時のリスナーの生活にも意外な形で入り込んだ楽曲を含む、聴きどころの多い作品と言えるでしょう。バラエティ豊かな楽曲群を通して、彼の音楽的な幅広さを感じ取ることができます。

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