INaturalist

iNaturalistの概要

プロジェクトの紹介

iNaturalistは、市民科学の動きを推進するオンラインプラットフォームで、ナチュラリストや生物学者向けのソーシャルネットワーキングサービスです。地球上の生物多様性に関する観察データを共有し、活用することを目的として設立されています。カリフォルニア大学バークレー校での研究をきっかけに2008年に開始され、現在では494万人以上のユーザーが参加し、合計9900万件以上の観察記録が集まっています。

このプラットフォームでは、ユーザーが動植物、菌類などの生物の観察を写真や音声で記録し、投稿できる仕組みになっています。投稿された情報は、他のユーザーによって同定されることで、科学的データへと変換され、研究機関や博物館などに有用なオープンデータとして提供されます。

観察記録の分類

投稿された観察記録は、「カジュアル」、「要同定」、「研究用」の3種類に分類されます。観察日時や場所、画像や音声が揃っている場合は「要同定」とされ、さらに多くのユーザーから同定の合意が得られると「研究用」に格上げされます。逆に、必要な情報がない場合は「カジュアル」に分類され、外部データベースに反映されません。また、観察場所の詳細は、乱獲防止のために非公開にすることも可能です。

データの活用

「研究用」グレードの観察記録は、地球規模生物多様性情報機構（GBIF）など、さまざまなオンラインデータベースで利用され、科学的な統計研究へと繋がります。iNaturalistには22万人以上の同定者がおり、彼らが寄与することでプラットフォームの信頼性が増しています。ウェブ版とアプリ版の両方が提供されており、アプリ版には一部機能が制限されています。

アプリの意義と活動

iNaturalistは、特にメキシコにおいて生物多様性をクラウドソースするアプリとしての位置を確立しており、2017年には国際連合環境計画とのコラボレーションで世界環境デーを祝う活動も展開されています。また、ユーザー主導で97,000以上のプロジェクトが立ち上げられ、多様なテーマで貢献されています。具体的なプロジェクト例には、分類群や地域限定のBioblitz（生物相の調査）や、アニマルトラック、外来種の観察などがあります。アメリカ合衆国国立公園局との提携によるBioBlitzイベントも成功を収め、多くの観察記録が集まりました。

歴史と進化

最初はカリフォルニア大学の修士課題としてスタートしたiNaturalistは、次第に拡大を続け、2014年にはカリフォルニア科学アカデミーと合併しました。2011年には、世界の両生類と爬虫類の観察記録のモニタリングプラットフォームとしても機能するようになり、2017年にはAIによる自動同定機能が実装され、ユーザーが簡単に観察記録を整理できるようになりました。

このように、iNaturalistは単なる観察記録の収集を超え、科学的研究に寄与する重要なデータプラットフォームへの成長を遂げています。

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