IQue Player

iQue Player（アイキュー・プレイヤー）

iQue Playerは、任天堂が2003年に中国市場向けにリリースした特異なゲーム機です。初めての発売は上海、広州、成都などの一部都市で行われ、その後2004年春には全国に展開されました。このゲーム機は、コントローラ型で設計されており、直接テレビに接続してゲームをプレイすることができます。この製品は、任天堂と中国系アメリカ人の科学者である顔維群が設立した現地法人「神游科技」によって発売されました。また、別名として「神遊機」（Shényóujī）とも呼ばれています。

性能と特徴

iQue PlayerはNINTENDO64を基本とした性能で設計されていますが、コントローラ型を採用した背景には、中国でのゲーム業界の厳しい規制が存在します。2000年6月に、中国政府は「青少年に悪影響を与える」という理由から、据え置き型ゲーム機の新規発売を禁止しました。これに対して、コントローラ型という形式を採用することで、規制を回避しユーザーへの普及を図ったのです。

ゲームソフトのダウンロード方式

iQue Playerでは、従来のゲームソフトの販売方法が採用されていません。代わりに、全国のゲーム販売店に設置された機械を使用して、メモリーカードへゲームを直接ダウンロードするシステムがとられています。この方式は、コンピュータゲームソフトウェアの海賊版が蔓延する中国の現状を考慮したものです。また、カートリッジの生産および販売にかかるコストを抑える狙いもあります。メモリーカードからゲームをプレイする形式は、多くのプレイヤーにとって新しい体験となりました。

2003年の発売時には、『スーパーマリオ64』、『ゼルダの伝説 時のオカリナ』、『スターフォックス64』、『ウエーブレース64』などのNINTENDO64用ゲームの翻訳版が同時にリリースされましたが、特筆すべきは、1989年の天安門事件を念頭に置き、名称から「64」が除外されていることです。この配慮は、国家の状況や社会的な配慮を反映していると言えます。

2004年からは、販売店でのダウンロードに加え、USBケーブルとインターネットを利用してソフトをダウンロードすることも可能となりました。どちらの方法でも、ゲームをダウンロードするためには「神遊票」というプリペイドカードの購入が前提でした。

入手の難しさ

iQue Playerに同梱されたゲームソフト以外は、中国国外のコレクターにとっては入手が難しいことが多く、特にメモリーカードが複数必要なソフトをコンプリートするためには相当の労力が必要です。そのため、iQue Playerは国内外のゲームコレクターにとって特異な位置づけとなっています。

結論

iQue Playerは、特異な仕組みと背景を持ったゲーム機であり、中国におけるゲーム業界の歴史において重要な位置を占めています。任天堂が中国市場向けにどのように対応したかを示す良い例であり、その独特のダウンロード方式や設計は、今後のゲーム機の展開にも影響を与えることが期待されます。

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