ISIS (人工衛星)

ISIS（International Satellites for Ionospheric Studies）

ISISはカナダが電離層の研究を目的に開発した人工衛星シリーズであり、国際的な科学共同プロジェクトとして展開されました。この計画は、カナダ初の人工衛星「アルエット1号」の成功を受け、カナダとアメリカの協力によって追加の科学衛星を打ち上げることを決定したことに始まります。具体的には、ISIS計画の下、3機の衛星が開発され、それぞれISIS-X（後にアルエット2号に改名）、ISIS-I、ISIS-IIと名付けられました。これらの衛星は、モントリオールに拠点を置くRCAヴィクター社が主契約企業として製造を手掛けています。

しかし、最終的な衛星の製造準備が進められていたものの、政府の重心が通信性能の向上へと移行したため、計画は1969年に中止を余儀なくされました。これにより、ISISシリーズは3機で完結することとなりました。

ISIS I

ISIS Iは1969年1月30日、カリフォルニア州のヴァンデンバーグ空軍基地からデルタロケットによって打ち上げられました。運用を1984年3月に終了したカナダは、この衛星の使用権を日本に譲渡し、1990年まで日本で活用されることになります。ISIS Iは、アルエット系列の衛星とは異なり、複雑なナビゲーション装置と、通信圏外で実験データを記録するためのテープレコーダを搭載していました。このテープレコーダは、衛星がカナダ上空に戻った際、取得したデータを地上に送信する役割を果たしました。なお、記録されない実験結果については、地上に点在するステーションを通じて送信されました。実施された実験は合計で10種類に及びました。

ISIS II

次に打ち上げられたISIS IIは1971年4月1日に発射されました。こちらもヴァンデンバーグ空軍基地からデルタロケットによって打ち上げられたこの衛星は、予算の都合からISIS Iと同様の設計がされていました。ただし、主な相違点は、大気における光放射研究を行うための装置が新たに2つ追加されたことです。この改良により、より詳細で多様なデータが取得されることが期待されました。

まとめ

ISISプロジェクトは、カナダとアメリカを中心とした国際的な科学協力の一例であり、電離層に関する貴重なデータを収集するための重要な試みでした。時代の変化に伴い、通信技術の発展に重心が移ったことからプロジェクトは短命に終わりましたが、ISISシリーズがもたらした知見は今もなお、科学的探究の土台となっています。

もう一度検索