ISO 22196

ISO 22196は、国際標準化機構（ISO）によって策定された、プラスチックやその他の非多孔質表面における抗菌性能試験方法に関する国際規格です。この規格は、日本国内での抗菌ブームとそれに伴う市場の混乱を背景に、抗菌加工製品の品質と安全性を確保するために生まれました。

歴史的背景

1990年代後半、日本国内でO157などの集団食中毒事件が発生し、「抗菌ブーム」が起こりました。このブームの中で、抗菌剤が含まれていない偽物や、抗菌剤による健康被害を引き起こす製品が市場に溢れかえりました。このような状況を改善するため、経済産業省は1998年12月に「抗菌加工製品ガイドライン」を策定し、抗菌加工製品に関する基本的な共通事項をまとめました。

さらに、2000年12月には日本工業規格（JIS）としてJIS Z 2801（繊維製品以外）が、2002年3月にはJIS L 1902（繊維製品）が制定されました。これらの規格が制定される中、海外でも抗菌製品への関心が高まり、日本の抗菌技術の国際的な競争力を強化するため、経済産業省はJIS Z 2801の国際標準化を目指しました。

その結果、JIS Z 2801をベースとして、大きな修正を加えることなく、2007年9月18日にISO 22196:2007として国際規格として承認され、同年10月15日に正式に発行されました。当初、ISO 22196:2007はプラスチック製品に限定されていましたが、2011年7月21日には金属製品やセラミックス製品にも適用範囲を広げた改訂版ISO 22196:2011が発行されました。

ISO 22196:2011 の概要

ISO 22196:2011は、プラスチック製品やその他の非多孔質表面の抗菌加工製品（中間製品を含む）の抗菌性能を評価するための試験方法を規定しています。この規格は、抗菌加工が施されていない製品の微生物活動を評価することを目的とはしておらず、それらはISO 846によって適用されています。

また、抗菌効果の副次的な効果（生物劣化や防臭など）もISO 22196の範囲外であり、繊維製品についてはISO 20743およびISO 13629-1、光触媒製品についてはISO 27447によってそれぞれ規定されています。

ISO 22196:2007 の構成

ISO 22196:2007の構成は以下の通りです。

序文：規格の概要と背景を説明します。
適用範囲：この規格が適用される製品の範囲を定義します。
引用規格：規格を理解するために参照すべき他の規格を列挙します。
用語および定義：規格で使用される専門用語を定義します。
原料：試験に使用する材料や試薬について説明します。
試験に用いる細菌：試験に使用する細菌の種類を特定します。
薬品、材料、器具の仕様：試験に使用する薬品、材料、器具の仕様を規定します。
装置：試験に使用する装置とその仕様を規定します。
殺菌方法：試験に使用する器具の殺菌方法を規定します（乾熱殺菌、高圧蒸気殺菌）。
ガラス製器具の準備：試験に使用するガラス器具の準備方法を規定します。
細菌の保存：試験に使用する細菌の保存方法を規定します。
試験操作：具体的な試験の手順を詳細に説明します。
試験菌の前培養
試験片の調製
試験菌液の調製
試験菌液の接種
試験菌液を接種した試験片の培養
接種した試験菌の洗い出し
寒天平板培養法による生菌数の測定
試験結果：試験結果の評価方法を規定します。
生菌数の計算
試験成立条件の判定
抗菌活性値の計算
抗菌効果の評価
再現性の評価
試験結果の記録：試験結果を記録する方法を規定します。
* 脚注：規格に関する補足的な情報を記載します。

まとめ

ISO 22196は、抗菌加工製品の品質を評価するための重要な国際規格であり、製品の抗菌性能を客観的に評価するための共通の基準を提供しています。この規格の制定により、抗菌製品市場における透明性と信頼性が向上し、消費者はより安心して製品を選択できるようになりました。

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