ISO 31-11

ISO 31-11は、国際標準化機構（ISO）が定めた数学記号に関する国際規格であり、ISO 31の一部を構成していました。しかし、2009年に発行されたISO 80000-2によってその役割を終え、現在は廃止されています。

この規格は、数学で使用される様々な記号の定義と用法を定めることを目的としていましたが、時代とともに規格の見直しが行われ、より包括的な内容を持つISO 80000-2へと移行しました。ISO 80000-2は、数学だけでなく物理学など他の分野の記号も含む、より広範な規格となっています。

日本の工業規格（JIS）では、1981年に制定されたJIS Z 8201がISO 31-11に相当する規格とされていました。しかし、JIS Z 8201は、数理論理学や集合の記号が不足しているなど、ISO 31-11とは内容に一部差異が見られました。JIS Z 8201は、ISO 31-11と完全に一致するものではなく、修正を意味する「MOD」という同等性を持つ規格でした。

ISO 31の他の部分に対応するJIS規格としてJIS Z 8202がありますが、JIS Z 8202の第11部は欠番となっており、ISO 31-11に相当する内容はJIS Z 8201を参照する形となっていました。この状況は、ISO 80000-2が発行された後も長く続き、JIS規格の改訂が遅れていました。

しかし、2022年になって、最新のISO 80000-2と「IDT」（一致）の同等性を持つJIS Z 8000-2が制定されました。このJIS Z 8000-2の制定に伴い、旧規格であるJIS Z 8201は廃止されました。これにより、日本の規格も国際的な整合性が確保されることになりました。

参考として、JIS Z 8201とISO 31-11の関係について触れている外部サイトがあります。このサイト（KIKAKURUI.COM）では、JIS Z 8201がISO 31-11を参照していることが示されています。ただし、JIS Z 8201には、斜体であるべき箇所が直立体で表記されている、一部の表示が乱れているなどの不正確な箇所も存在しているため、注意が必要です。

この変遷を通して、国際規格と国内規格の整合性の重要性、そして規格が時代とともに変化していく様子を理解することができます。ISO 31-11は過去の規格となりましたが、その歴史は、現在の規格がどのように発展してきたのかを知る上で重要な手がかりとなります。

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