ISO 3864

ISO 3864は、国際標準化機構（ISO）によって策定された、安全標識のデザインに関する国際規格です。正式名称は「Graphical symbols -- Safety colours and safety signs」、日本語訳は「図記号－安全色及び安全標識」です。この規格の重要な点は、標識を言葉に頼らず、グラフィカルな表現を用いることで、言語の壁を克服しようとしている点にあります。

ISO 3864は、以下の4つの主要な部分から構成されています。

ISO 3864-1:2011 Part 1: Design principles for safety signs and safety markings（安全標識及び安全マーキングのデザイン通則）：安全標識と安全マーキングのデザインに関する基本的な原則を定めています。これには、標識の視認性、理解しやすさ、配置に関するガイドラインが含まれます。
ISO 3864-2:2016 Part 2: Design principles for product safety labels（製品安全ラベルのデザイン通則）：製品に貼付される安全ラベルのデザイン原則を規定しています。製品の危険性を示すための視覚的な要素と、ラベルの配置方法について詳細に定義されています。
ISO 3864-3:2012 Part 3: Design principles for graphical symbols for use in safety signs（安全標識に使用する図記号のデザイン通則）：安全標識に使用される図記号のデザイン原則を規定しています。図記号の形状、色、サイズなど、視覚的な要素が詳細に定義されています。
ISO 3864-4:2011 Part 4: Colorimetric and photometric properties of safety sign materials（安全標識材料の発色及び測光的特性）：安全標識の材料に関する発色と測光特性を定めています。これにより、異なる環境下でも標識の視認性が保たれるように規定されています。

色について

ISO 3864-4では、特定の安全色をRAL色標準で定義しています。これらの色は、危険の度合いや種類を示すために使用されます。例えば、赤色は危険や禁止、黄色は注意、緑色は安全などを表すために使用されます。これらの色の選定は、国際的な共通認識に基づいており、異なる国や文化圏においても、一貫した安全情報伝達を可能にします。

関連規格

ISO 3864に対応する日本の規格としては、以下のJIS規格が存在します。

JIS Z 9101: ISO 3864-1に対応しています。
JIS Z 9103: ISO 3864-4に対応しています。

アメリカ規格協会（ANSI）のANSI Z535も安全標識に関する規格ですが、ISO規格とは互換性がない点に注意が必要です。ANSI Z535.6-2006は、1つ以上の言語による付随的な文言を定義しており、図記号だけでは伝達できない情報を補完する役割を果たします。

また、ISO 7010はISO 3864に基づいており、ISO 3864で規定されているデザイン原則と特性に基づいた一連の標識を規定しています。ISO 7010は、実際の標識のデザインを具体的に示し、国際的な標準化を促進しています。

まとめ

ISO 3864は、安全標識のデザインに関する包括的な国際規格であり、その目的は、視覚的な要素を用いて、言語の壁を越えて安全情報を伝えることです。この規格は、安全標識の設計、色、材料、図記号に関する詳細なガイドラインを提供し、様々な産業分野や環境での安全確保に貢献しています。関連する規格も参照することで、より安全な環境作りが可能になります。

関連項目

ISO 7010: ISO 3864に基づいた実際の標識デザインを規定する規格です。
安全標識: ISO 3864に基づいてデザインされた各種標識です。
* JIS安全色 (JIS Z 9103): ISO 3864-4に対応する日本の規格で、安全標識の色を定めています。

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