ISO/IEC 12207

ISO/IEC/IEEE 12207: ソフトウェアライフサイクルプロセス規格

ISO/IEC/[IEEE]] 12207は、国際標準化機構]、[国際電気標準会議]、電気電子技術者協会([[IEEE)が共同で制定した、ソフトウェアライフサイクルプロセスに関する国際規格です。ソフトウェア開発や保守に関わるあらゆる活動を包括的に規定し、関係者間の共通理解と円滑な連携を支援することを目的としています。規格番号は12207、正式名称は「Systems and software engineering — Software life cycle processes」で、日本の産業規格では「JIS X 0160 ソフトウェアライフサイクルプロセス」に相当します。

ソフトウェアライフサイクル全体を網羅

本規格では、システムサービスの取得から構成、そしてソフトウェアの開発、運用、保守に至るまでのライフサイクル全体を詳細に定義しています。単なるソフトウェア開発工程だけでなく、システム運用や保守といった後工程、さらにはシステム調達段階における活動も包含している点が特徴です。

各プロセスは、明確な出力（成果物）を伴います。具体的には、23種類ものプロセス、95種類の活動、325種類のタスク、そして224種類の成果物が規定されています。この豊富な項目により、ソフトウェア開発プロジェクトのあらゆる局面を網羅的に管理することが可能になります。

ステークホルダー間の共通言語

ISO/IEC/IEEE 12207の主要な目的の一つは、ソフトウェア開発に関わる多様なステークホルダー間のコミュニケーションを円滑化することです。購入者、開発者、保守者、運用者、管理者など、プロジェクトに関わる全ての人々が共通の理解に基づいて作業を進めるための枠組みを提供します。

この規格は、柔軟性とモジュール性を重視した設計となっています。必要に応じて特定のプロセスや活動のみを選択的に適用できるため、プロジェクトの規模や特性に合わせてカスタマイズが可能です。

モジュール性と信頼性の原則

ISO/IEC/IEEE 12207の2つの基本原則は、「モジュール性」と「信頼性」です。

モジュール性: プロセス間の結合度を最小限に抑え、各プロセスの独立性と再利用性を高めることで、柔軟な運用を可能にしています。
信頼性: 各プロセスの信頼性を確保し、法的な整合性も考慮することで、多くの参加者が安心してプロジェクトに参加できる環境を整備します。

プロセス分類

本規格で定義されているプロセスは、大きく3つのカテゴリーに分類されます。

基本プロセス: ソフトウェアライフサイクルの中核をなすプロセスです。購入プロセス（発注プロセス）、提供プロセス、開発プロセス、運用プロセス、保守プロセスなどが含まれます。
サポートプロセス: 基本プロセスを支援する補助的なプロセスです。文書化プロセス、構成管理プロセス、品質保証プロセス、検証プロセス、評価プロセス、ジョイントレビュープロセス、報告プロセス、問題解決プロセスなどが含まれます。
* 組織プロセス: 組織全体の管理や改善に関わるプロセスです。管理プロセス、基盤プロセス、改善プロセス、訓練プロセスなどが含まれます。

適用範囲と関連規格

ISO/IEC/IEEE 12207は、あらゆる規模と種類のソフトウェアプロジェクトに適用可能です。関連規格として、ソフトウェア品質評価モデルであるISO/IEC 15504|ISO_IEC 15504や、システムエンジニアリングプロセスに関するISO/IEC 15288、Vモデルなどが挙げられます。これらの規格と併せて活用することで、より効果的なソフトウェア開発と保守を実現できます。

改訂履歴

ISO/IEC/IEEE 12207は、必要に応じて改訂が繰り返されており、最新の規格を参照することが重要です。

本規格は、ソフトウェア開発に関わる全ての人々にとって貴重な指針となるでしょう。その柔軟性と網羅性により、様々なプロジェクトで活用され、ソフトウェア開発の品質向上に貢献しています。

もう一度検索