ITコーディネータ

ITコーディネータ

ITコーディネータ（略称：ITC）は、企業の経営と情報技術（IT）の双方に深い知識を持ち、経営者のビジョン達成に向けたIT戦略の策定や導入・活用を支援する専門家、およびその資格を指します。経営とITの間の橋渡し役として、企業の情報化を成功に導く重要な存在です。

設立経緯

1990年代の日本の国際競争力低下の要因の一つとして、特に中小企業におけるIT活用の遅れが指摘されました。この状況改善を目指し、1999年には経営戦略とITを結びつける専門人材「ITコーディネータ」の必要性が提言されました。これに基づき、2001年2月にITコーディネータ制度が創設され、資格認定等を行うITコーディネータ協会が設立されました。

役割と人材像

ITコーディネータは、経営戦略を理解した上でIT戦略を立案し、情報システムの企画、調達、導入、そしてその運用・活用まで一貫して支援します。経営層への意思決定支援や、IT導入プロジェクトにおける助言、進捗管理なども重要な役割です。このため、経営・IT双方の専門知識に加え、円滑なコミュニケーション能力やプロジェクト管理能力が求められます。独立行政法人情報処理推進機構（IPA）などが定めるITスキル標準（ITSS）では、試験によって評価される資格の中で最高位のレベル4に位置づけられています。

資格制度

ITコーディネータは、経済産業省が推進する民間資格であり、ITコーディネータ協会が認定しています。これは、技術革新に対応できるよう柔軟な制度とするためです。2024年3月末時点で7,174名が資格を保有しており、約半数が他の専門資格（中小企業診断士や高度情報処理技術者等）を併せ持っています。資格保有者の多くは企業に所属する形で活動していますが、独立系の専門家も一定数存在します。
名称独占資格ではありませんが、「ITコーディネータ」という名称は商標登録されており、無資格者が特定のサービスで名乗ることは商標権侵害にあたる可能性があります。

資格取得プロセス

資格取得には、「ITコーディネータ試験の合格」と「ケース研修の修了」が必要です。どちらを先に満たしても構いません。

ITコーディネータ試験

試験は年2回（主に7月と2月）実施され、CBT（Computer Based Testing）方式の多肢選択式です。合格率は約47〜48%程度です。

専門スキル特別認定制度

特定の国家資格や公的資格（中小企業診断士、高度情報処理技術者、弁護士、税理士など）保有者は、申請により試験の一部（選択問題）が免除される制度があります。

ケース研修

ケース研修は、ITコーディネータに必要な実践的スキルを習得するプログラムです。集合研修とeラーニングを組み合わせた形式で行われます。

資格の更新

資格は毎年更新が必要です。更新のためには、継続的な学習（ポイント制、年間10ポイント必要）による知識維持と、実務活動報告が義務付けられています。

中小企業支援

中小企業がITコーディネータの支援を受ける場合、中小企業基盤整備機構等を通じて、派遣費用補助、優遇融資、税制特例などの公的な支援策を活用できるメリットがあります。

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