ITVイブニングニュース

『ITVイブニングニュース』は、英国の主要テレビ局であるITVにて、そのニュース制作部門であるITNが手掛ける、夕方のフラッグシップニュース番組です。現在、毎週月曜日から金曜日の18時30分から30分間にわたり放送され、英国国内はもとより、世界各地の重要な出来事を伝えています。番組の顔として、長年にわたりメアリー・ナイチンゲールがプレゼンターを務めています。

歴史的変遷

この番組のルーツは、ITVが放送サービスを開始した1955年 9月22日に遡ります。当時ITNは、17時50分から『ITNニュース』として夕方のニュースを提供していました。ゴードン・ハニーコムが進行役を務めたこのシンプルな形式の番組は、カメラ1台でその日の主要ニュースの概要を伝え、夜の主要ニュース番組『News at Ten』でより詳細に扱う項目を示す役割を担っていました。

1976年 9月6日、『ITNニュース』は放送時間を17時45分に変更し、『News at 545』へとタイトルを改めました。この改称は、以前の番組とは異なる、大幅なプレゼンテーションスタイルの刷新を示すものでした。当初、「ポリス・ファイブ」のスタジオからの放送となり、プロデューサーはクロマキー技術を駆使して、キャスターの背後に映像を合成したり、複数のカメラを用いたり、スタジオ内外で特派員にインタビューを行ったりすることが可能になりました。番組の開始時と終了時、および特派員への切り替え時には、スタジオ全体がワイドスクリーンで映し出されました。

『News at 545』の初代プレゼンターはアラステア・バーネットでした。マイケル・ニコルソンは主に金曜日の担当を務め、代行も兼任しました。アニメーションによる視覚的なタイトルロールと、初期の電子音楽のテーマ曲に続いて、アナウンサーが落ち着いたトーンで「アラステア・バーネット/マイケル・ニコルソンの『News at 5:45』です」と告げるスタイルでした。1970年代後半には、当時『ITN News at One』を定期的に担当していたレオナルド・パーキンやジャーナリストのマーティン・ルイスといった面々も代行を務めました。1980年3月、バーネットが『News at Ten』へ異動するため『News at 545』を離れると、ニコルソンが主任プレゼンターとなり、キャロル・バーンズが代行担当となりました。1986年9月には、ニコルソンが戦争報道に戻るために番組を離れ、アラステア・スチュワートが後任となりました。

1988年 4月4日、『News at 545』は見た目が刷新されました。アニメーションのタイトルロゴと電子テーマ音楽は廃止され、コンピューター合成による新しいオープニングと、より現代的なテーマ曲が導入されました。スタジオ映像も引き続きクロマキーが使用されましたが、これもコンピューターで生成されたものとなりました。放送場所はITN本社ビル内のメインニュースルームへ移され、番組内で本格的な長さのレポートが紹介されるようになりました。ITNは「メイン」と「救援（代行）」といった従来の担当体制を改め、アラステア・スチュワート、フィオナ・アームストロング、ジャーナリストのニコラス・オーウェン、トレバー・マクドナルド、スー・カーペンター、キャロル・バーンズといったキャスターの「チーム」が持ち回りで番組を担当するようになりました。1989年2月13日には、番組の最後に全国の天気予報（ITVウェザー）が設けられたことから、放送時間が17時40分開始に拡大され、番組名も『News at 540』へと変更されました。

1991年の湾岸危機の影響で、ITNには毎晩30分の放送枠が一時的に与えられました。この時期、番組の時間や長さが度々変更された結果、『News at 540』は単に『ITNニュース』として親しまれるようになりました。

1992年 3月2日、『ITN News at 540』は『ITNアーリーイブニングニュース』と改称されました。新しい装いは、ロンドンにあるITNの印象的な本社ビルを効果的に活用したデザインが特徴でした。オープニングは、建物内を横断するカメラがニュースデスクへと移動し、ニュースルーム全体のパノラマビューを捉える構成でした。ジョン・スーシェがメインキャスターに就任し、1999年までその役割を継続しました。バーンズとオーウェンは代行担当を務めました。

1995年 3月6日、ITNのすべてのニュース番組（独立したアイデンティティを保持した『News at Ten』を除く）は、より統一感のある見た目に刷新されました。しかし、この新しいデザインは、『News at Ten』の特徴であるビッグ・ベンの時計台やそのテーマ曲の要素を他の番組にも採り入れました（テーマ曲はアレンジされたものが使用されました）。当時のITNのコーポレートカラーであったブルーがスタジオデザインに豊富に使われました。オープニングでは、ビッグ・ベンの文字盤の様々な角度からの映像が時刻を示す時計の針と共に映し出され、最終的に番組開始時刻である17時40分を示す、といった演出がなされました。この時期、ダーモット・マーナハンが主な代行プレゼンターとなりました。

『ITVイブニングニュース』は1999年 3月8日に幕を開けました。これは、ITVのニュース番組のスケジュールが大幅に変更されたタイミングと合わせて実施されました。ITNの「アーリーイブニングニュース」は放送時間を17時40分から18時30分に変更し、番組タイトルも『ITVイブニングニュース』へと改められました。放送時間は30分に拡大され、この番組が実質的にチャンネルの主力ニュース番組であった『News at Ten』の役割を担うことになりました。『News at Ten』自体もこの時期に打ち切られ、23時00分からの20分番組『ITVナイトリーニュース』に置き換えられました。当初、トレバー・マクドナルドが担当し、マーナハンとカースティ・ヤングが最も定期的な代行担当でした。

『News at Ten』の打ち切りは当時不評で、政治家や一般市民からの抗議を招き、ITVのニュース番組の視聴率が低迷する結果となりました。この事態を受け、『ITV News at Ten』は2001年 1月22日に再開され、マクドナルドが再び担当に就きました。これに伴い、マーナハンとヤングは『イブニングニュース』のメインキャスター二人体制となりました。ヤングが産休後に復帰しないことを決定した数ヶ月後、メアリー・ナイチンゲールが彼女の後任となりました。ジャーナリストのマーク・オースティンは、2002年後半にBBCニュースに移籍したマーナハンの後任となりました。

当番組は2004年2月2日に刷新され、「Theatre of News」と称された最先端のバーチャルスタジオ設備が導入されました。この変更により、ITNのキャスターがニュースウォールの前に立ち（あるいは歩きながら）、視聴者にグラフィックを提示する様子が特徴的でした。「Theatre of News」は、2009年2月9日のリニューアル後、規模が縮小され、机の後ろに座って進行するより伝統的なスタイルへと回帰しました。

2009年 8月3日、アラステア・スチュワートが『ロンドン・トゥナイト』の担当を16年間務めた後、地域ニュースから異動し、『ITVイブニングニュース』のメインキャスターの一員となることが公表されました。マーク・オースティンは『ITV News at Ten』のメインキャスターとなりましたが、18時30分の番組は代行担当として続けることになりました。

2009年 11月2日、番組タイトルは『ITV News at 6:30』へと改められました。スタジオセットは、「Ultimatte」として知られる新たなグリーンスクリーン電子合成システムを用いてバーチャルスタジオ形式が採用されました。このバーチャルセットは、即座に低コストで構築できる利点がありました。従来のクロマキーシステムと異なり、Ultimatteはカメラの完全な動きなどを可能とし、ガラスや金属の表面に人工的な反射を生み出すことも可能であるなど、より高度な表現が特徴でした。

2015年6月、ITVニュース全体でのより広範な再編成の一環として、マーク・オースティンが同年10月からメアリー・ナイチンゲールと共に番組に再びレギュラー担当として復帰することが発表されました。アラステア・スチュワートは、『ITVランチタイムニュース』の担当と並行して、代行プレゼンターとして引き続き出演していました。メインの担当者ラインナップに合わせて、この番組は再度『ITVイブニングニュース』と称されるようになりました。

2016年 10月26日、ITVニュースで30年間キャリアを積んだオースティンが同年末をもって引退することが明らかにされました。続いて、同年12月13日には、ナイチンゲールが2017年1月以降に『ITVイブニングニュース』を単独でメインキャスターとして務めることが確認されました。オースティンは、2016年 12月22日のナイチンゲールとの最後の担当回に登場しました。

テーマ音楽

オープニングタイトルの音楽は、1992年以降、作曲家のデイブ・ヒューソンによって手掛けられています。現在のタイトルシーケンスはランビーネアンによってデザインされており、使用されている音楽は「グローバル・ブロードキャスト（Global Broadcast）」と称されています。

主な担当者

現在のニュースキャスター

メアリー・ナイチンゲール（主要担当：2001年〜現在）
ルクレツィア・ミラリーニ（代行担当：2019年〜現在）
カイリー・ペンテロウ（臨時代行担当：2021年〜現在）
シャーリーン・ホワイト（代行担当：2014年〜現在）

過去のニュースキャスター（一部抜粋・担当期間順不同）

フィオナ・アームストロング（1985年〜1991年）
マーク・オースティン（2001年〜2016年）
キャロル・バーンズ（1982年〜1994年）
フェリシティ・バー（2001年〜2005年）
マイケル・ブランソン（1980年〜1981年）
アラステア・バーネット（1976年〜1984年）
アンドレア・バーン（2011年〜2012年）
スー・カーペンター（1988年〜1990年）
アンドレア・キャサーウッド（2003年〜2006年）
ケイティ・デラム（1999年〜2010年）
ジュリー・エチンガム（2008年〜2015年）
シュリエ・ゴーシュ（1998年〜2006年）
ニーナ・ホサイン（2004年〜2019年）
ナターシャ・カプリンスキー（2011年〜2016年）
マーティン・ルイス（1980年〜1988年）
ジェームズ・メイツ（2002年〜2018年）
トレバー・マクドナルド（1982年〜1990年、1999年〜2001年）
ルーシー・ミーコック（2007年〜2009年）
ダーモット・マーナハン（1989年〜2002年）
ビル・ニーリー（2004年〜2008年）
マイケル・ニコルソン（1976年〜1986年）
ラゲ・オマール（2015年）
ルーシー・オーウェン（2004年〜2006年）
ニコラス・オーウェン（1990年〜2007年）
レオナルド・パーキン（1976年〜1987年）
スティーブ・スコット（2005年〜2015年）
ランヴィル・シン（2014年〜2020年）
ジュリア・サマービル（1999年〜2000年）
アラステア・スチュワート（1986年〜1992年、2009年〜2020年）
ジョン・スーシェ（1991年〜2004年）
ジェラント・ヴィンセント（2006年〜2012年、2019年）
ロミリー・ウィークス（2006年〜2014年）
* カースティ・ヤング（2000年〜2002年）

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