Illumination (浜田省吾のアルバム)

アルバム『Illumination』の概要

『Illumination』は、1978年9月21日にリリースされた浜田省吾の3枚目のアルバムです。この作品は浜田が水谷公生や佐藤準と初めて制作したものであり、彼の音楽キャリアにおいて非常に重要な一歩となりました。

当時、浜田は25歳で、共作を担当した佐藤は23歳という若さでした。この時期のレコーディングはとても厳しく、彼らは普段から音楽のプロたちと関わる中で、圧倒的なエリート意識を持ったスタジオ・ミュージシャンたちの存在に戸惑いを感じていたといいます。浜田はこれらのミュージシャンたちに対して距離感を抱いていたが、次第に彼らとともに成長していくことになりました。

また、このアルバムが制作された時期、音楽業界は変化の真っ只中にありました。レコード業界が活況を呈していた一方で、浜田自身はステージでは生ギターが主流となる時代にあったため、オリジナルアルバムの販売は苦戦していました。浜田は矢沢永吉のフィルム・コンサートの前座を務めるなど、苦しい時期を乗り越えていきました。

ジャケットの写真は京王プラザで撮影され、アルバム全体の印象を深める役割を果たしています。制作過程の中でCBS・ソニーのディレクター蔭山敬吾が異動し、その後浜田と同い年の須藤晃が新たにディレクターとして就任しました。この異動に対し、浜田は不満を持ったものの、須藤との関係はその後長きにわたって良好に続くことになります。

浜田はこのアルバムを振り返り、特に『Midnight Blue Train』については当時の心情が色濃く表現されていると述べており、一般的に求められるポップさに翻弄される自分と、その中で表現したい音楽があることとの葛藤を感じていたとのことです。

アルバムの記録と販売状況

『Illumination』はオリコンチャートで最高66位を記録し、浜田にとって初めてチャート内にランクインしたアルバムとなりました。1996年の時点での累計売上は349,944枚に達しており、再発盤を含め、その影響力は現在まで続いています。

収録曲の解説

このアルバムには多くの楽曲が収録されています。先行シングルである『涙あふれて』から始まり、他にも『グッドナイト・トーキョー』や『片想い』といった初期の代表曲が含まれています。『片想い』は歌詞の違いがある未発表部分があり、1979年にはシングル「愛を眠らせて」のB面として再リリースされ、1983年にはセルフカバーアルバム『Sand Castle』で再び登場しています。

『恋人達の舗道』や『汐風の日々』なども歌詞に未発表曲を含んでおり、ファンにとっては聴きどころが多い作品です。特に『ガラスの恋』や『散歩道』は、今でも多くの人に歌われる名曲であり、1983年のセルフカバーアルバムや2006年のベスト・アルバムでも再びリメイクされています。さらに、『ミッドナイト・ブルートレイン』はミュージシャンとしての内面的な葛藤を歌った曲であり、その後も2005年に新たにリメイクされ、2015年には福山雅治によってカバーされています。

参加ミュージシャン

参加したミュージシャンには、ドラムを担当したRobert Brill、ベースの岡沢茂、ピアノとキーボードの佐藤準、ギターの水谷公生、アコースティックギターを担当した笛吹利明などがいます。パーカッションには斉藤ノブ、サックスにはJake H. Concepcionが参加し、バッキングボーカルとギターソロは町支寛二が手掛けています。

このアルバム『Illumination』は、浜田省吾が成長していく過程を象徴する作品であり、多くの楽曲が今なお愛されています。

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