Ivory trees

Ivory trees

「Ivory trees」（アイヴォリー・ツリーズ）は、日本のヴィジュアル系ロックバンド、La'cryma Christiが1997年5月8日にリリースした、記念すべきメジャー初のシングル作品です。この楽曲は、彼らの存在を多くの音楽ファンに知らしめる重要な一歩となりました。

概要

本作は、La'cryma Christiにとって初めてのシングルとして、大きな注目を集めて発売されました。オリコンチャートにおいて、発売初週の売上は前作（インディーズ時代の作品を指す可能性が高い）と比較して約2倍という、飛躍的な増加を記録しました。これはバンドへの関心の高まりを明確に示すものでしたが、チャートへのランクイン期間は、残念ながら前作よりも一週間短い結果となりました。

シングルのカップリングには、「偏西風」のリミックスバージョンが収められています。オリジナル版の「偏西風」は、本シングルのリリースに先行して発売された映像作品『Glass Castle』に収録されていた楽曲であり、本作では新たなアレンジが加えられた形で楽しむことができます。

「Ivory trees」のプロモーションビデオ（PV）は、独特の雰囲気を醸し出す改装中の倉庫を舞台に撮影が行われました。このロケーションが楽曲の世界観を視覚的に表現する一助となっています。

シングルのジャケットデザインも特徴的です。レオナルド・ダ・ヴィンチによる名画『最後の晩餐』をモティーフにした、メンバー全員による集合写真が採用されました。この印象的な構図について、メンバー自身はインタビューなどでユーモラスに「吉牛」（牛丼チェーン店「吉野家」を指すスラング）と表現しており、彼ららしい遊び心が垣間見えます。

また、本作は当時日本テレビ系列で放送されていた人気バラエティ番組『進め!電波少年』のエンディングテーマとして起用されました。テレビを通じて多くの視聴者の耳に届いたことは、バンドの認知度向上に大きく貢献したと考えられます。

制作にまつわるエピソード

「Ivory trees」のレコーディング中には、今では語り草となっているユニークなエピソードがあります。ヴォーカル・パートの録音本番が始まる直前、ヴォーカルのTAKAが突如スタジオの外へ姿を消してしまうという出来事がありました。

彼を探しにいったベースのSHUSEが、思わず大きな声で「TAKAー！」と彼の名を呼びながらスタジオ内を駆け回っていたところ、偶然にも同じレコーディング・スタジオに居合わせていた俳優の舘ひろし氏が、この声を聞いて反応したのです。舘氏は、自身の当たり役であるドラマ『あぶない刑事』での「タカ」（鷹山刑事）という名前にかけて、自分が呼ばれたのだと勘違いしたようで、ちょうど昼食をとっていた手を止めてSHUSEの方を振り返ったという、予期せぬハプニングが発生しました。

この一連の珍しい出来事は、その後TAKAによってライブ中のMCで度々面白おかしく語られ、ファンにとってはよく知られたエピソードとして親しまれています。

収録曲

1. Ivory trees
作詞：TAKA / 作曲：HIRO
2. 偏西風 (Remix version)
作詞：TAKA / 作曲：HIRO

収録作品

本シングルに収録された楽曲は、その後のアルバムやベストアルバム、シングルコレクションなど、様々な作品に収められています。

『Sculpture of Time』（#1, #2 収録）
『Single Collection』（#1, #2 収録）
『GREATEST-HITS』（#2 収録）
『Sound & Vision THE SINGLES + Selection from Live “DECADE”』（#1 収録）
* 『La'cryma Christi Singles + Clips』（#1, #2 収録）

「Ivory trees」は、La'cryma Christiがメジャーフィールドでの活動を本格化させる契機となった楽曲であり、彼らの音楽性が広く認められるための重要な一歩を記した作品と言えるでしょう。チャートアクション、タイアップ、そしてメンバーによる数々のエピソードが、このシングルが持つ多面的な魅力を物語っています。

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