Ivy Bridgeマイクロアーキテクチャ

Ivy Bridgeマイクロアーキテクチャは、インテルによって開発されたマイクロプロセッサのアーキテクチャです。2012年 4月24日に正式発表され、第3世代Intel Coreプロセッサとして製品化されました。このアーキテクチャは、前世代のSandy Bridgeマイクロアーキテクチャをベースに、様々な改良と新機能が盛り込まれています。

主な特徴

Ivy Bridgeは、Sandy Bridgeと比較して、以下の点で機能向上が見られます。

3Dトライゲートトランジスタ: 2D平面トランジスタと比較して、同一パフォーマンスレベルで消費電力を最大50%削減することが可能になりました。これは、よりエネルギー効率の高いプロセッサを実現するための重要な技術です。
PCI Express 3.0: 高速なデータ転送を可能にするPCI Express 3.0をサポートしました。ただし、Core i3以下のCPUではPCI Express 2.0での動作となります。
CPU駆動クロック倍率: 最大63倍まで対応し、Sandy Bridgeの57倍から向上しました。
DRAM: 最大2800 MT/sで動作し、200 MHzの改善が見られます。
内蔵グラフィックス: Intel HD Graphics 2500/4000を搭載し、DirectX 11、OpenGL 3.1、OpenCL 1.1をサポートしました。組み込みGPUの実行ユニット数は最大16に増加し、グラフィック性能が大幅に向上しました。Sandy Bridgeでは最大12ユニットでした。
新しい乱数ジェネレータとRdRand命令: コードネームBull Mountainと呼ばれる新しい乱数ジェネレータとRdRand命令が追加されました。
REP MOVSBとSTOSB操作の強化: 文字列操作に関する命令が強化され、パフォーマンスが向上しました。
半精度浮動小数点コンバート命令の追加: 半精度浮動小数点数を扱う命令が追加されました。
ハードウェアプリフェッチの強化: データを事前に読み込むハードウェアプリフェッチ機能が強化されました。
シングルスレッド時におけるmicro-op queueの改善: シングルスレッドでの処理効率が向上しました。
レジスタの移動をゼロレイテンシーで操作可能: レジスタ間のデータ移動を高速化しました。
浮動小数点除算と平方根演算の高速化: 浮動小数点演算の処理速度が向上しました。
ROLおよびROR命令の高速化: ビットローテーション命令の処理速度が向上しました。
DDR3Lとモバイルプロセッサ向けの設定可能なTDP: 低電圧DDR3メモリ(DDR3L)に対応し、モバイルプロセッサ向けにTDP設定が調整可能になりました。
複数の4K動画再生: 複数の4K動画を同時に再生できる性能を持っています。
Intel Quick Sync Video: 動画エンコード・デコード処理を高速化するIntel Quick Sync Video機能を搭載しています。
組み込みGPUの3画面出力サポート: 組み込みGPUで3つのディスプレイに同時出力できるようになりました。

これらの機能を最大限に活用するためには、Intel 7シリーズチップセットを搭載したマザーボードが必要となります。ただし、一部機能は制限されるものの、Intel 6シリーズチップセットを搭載したマザーボードでも利用可能です。

製品ラインナップ

Ivy Bridgeマイクロアーキテクチャは、幅広い製品ラインナップを展開しており、デスクトップ、サーバー、モバイル、組み込みシステムなど、様々な用途に対応しています。

デスクトップ向け
Ivy Bridge-E (LGA2011ソケット)
Ivy Bridge-DT (LGA1155ソケット)
サーバー向け
Ivy Bridge-EX (LGA2011-1ソケット)
Ivy Bridge-EP (LGA2011ソケット)
Ivy Bridge-EN (LGA1356ソケット)
Ivy Bridge-DT (LGA1155ソケット)
モバイル向け
Ivy Bridge
組み込み向け
Gladden
Ivy Bridge

後継アーキテクチャ

Ivy Bridgeの後継となるマイクロアーキテクチャは、Haswellマイクロアーキテクチャです。

Ivy Bridgeマイクロアーキテクチャ