Haswellマイクロアーキテクチャ

Haswellマイクロアーキテクチャとは

Haswellマイクロアーキテクチャは、インテルが開発したマイクロプロセッサのアーキテクチャであり、2013年6月に正式発表されました。これは、第4世代Intel Coreプロセッサシリーズの基盤となっています。前世代のIvy Bridgeアーキテクチャをさらに進化させ、省電力性能の向上とグラフィックス機能の強化に重点が置かれました。

開発の背景と概要

Haswellの開発は、前々世代のNehalemアーキテクチャを手掛けたオレゴン州ヒルズボロのチームが担当しました。このアーキテクチャは、インテルが推進するUltrabookに最適化され、省電力技術が大幅に導入されました。しかし、インテルはHaswellをタブレット、ノートパソコン、デスクトップ、サーバーなど、幅広い機器に対応できるように設計したと述べています。開発段階では、IDF2011で実働デモが行われ、IDF2012では詳細が発表されました。Ivy Bridgeと比較して、同じクロック数で10%以上の性能向上が期待できます。

グラフィックス性能の強化

Haswellでは、グラフィックス性能が大幅に向上しました。特に、上位の内蔵GPUであるGT3e（Iris Pro Graphics 5200）および一部のGT3（Iris Graphics 5100）には、「Iris」というブランド名が与えられました。Iris Pro Graphics 5200は、Ivy BridgeのIntel HD Graphics 4000と比較して、実行ユニット数が16から40に増加し、2倍以上のパフォーマンス向上を実現しました。

Haswellの主な特徴

Haswellは、Ivy Bridgeから以下の特徴を引き継いでいます。

トライゲート22nmプロセス
14段のパイプライン
ハイパースレッディング・テクノロジー
ターボブースト・テクノロジー

さらに、Haswellでは以下の新しい特徴が追加されました。

CPU部の強化

演算処理ポート数が6個から8個に増加
分岐予測精度の向上によるパイプラインストールの削減
AVX2、FMA3、BMIなどの拡張命令の追加
トランザクショナルメモリのハードウェアサポート
L1データキャッシュの帯域が倍増（ロード64Bytes/cycle、ストア32Bytes/cycle）
L2キャッシュの帯域が倍増（64Bytes/cycle）
L2 TLBエントリ数の増加とラージTLBのサポート
リオーダバッファのエントリ数の増加(168から192)
物理レジスタファイルの増加（整数160から168、浮動小数点144から168）
リザベーションステーションのエントリ数の増加(54から60)

GPU部の強化

GT1（HD Graphics）、GT2（HD Graphics 4200、4400、4600、P4600、P4700）、GT3（15W版 HD Graphics 5000、28W版 Iris Graphics 5100）、GT3e（Iris Pro Graphics 5200）という4種類のGPUを提供
4K解像度への対応
Direct3D 11.1、OpenCL 1.2、OpenGL 4.0への対応
組み込みGPUでの3画面出力制限の撤廃

その他

スタンバイ時の消費電力をUltrabookで1/30に削減（3Wから0.1W）
電力管理機構全体の組み込み
Thunderboltテクノロジーのサポート

製品一覧

Haswellマイクロアーキテクチャを搭載した製品は、デスクトップ、サーバー、モバイル、組み込み向けなど、多岐にわたります。

デスクトップ向け:
Haswell-E (LGA2011-v3)
Haswell-DT (LGA1150)
Haswell-H
サーバー向け:
Haswell-EX (LGA2011-1)
Haswell-EP (LGA2011-v3)
Haswell-EN (LGA1356-3)
Haswell-DT (LGA1150)
Haswell-H
モバイル向け:
Haswell-M
Haswell-H
Haswell-U
Haswell-Y
組み込み向け:
Haswell-DT (LGA1150)
Haswell-H

後継アーキテクチャ

Haswellの後継として、14nmプロセスでシュリンクされたBroadwellマイクロアーキテクチャが開発されました。

関連情報

Ivy Bridgeマイクロアーキテクチャ
* Broadwellマイクロアーキテクチャ

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