Jの総て

Jの総て

『Jの総て』は、中村明日美子が手掛け、『マンガ・エロティクスF』（太田出版）で連載された漫画作品です。1950年代のアメリカを舞台に、主人公J.M.オースチンの苦悩と成長を描いています。

あらすじ

物語は、1950年代のアメリカ合衆国から始まります。主人公の少年J.M.オースチンは、マリリン・モンローに憧れる繊細な少年。しかし、彼の家庭環境は複雑で、リストラによってアルコール中毒となった父親から性的虐待を受けます。その現場を目撃した母親は、父親を射殺してしまいます。

その後、Jは施設に一時的に預けられますが、14歳の時にカレンズバーグという女性に引き取られ、J.S.カレンズバーグと名前を変えることになります。カレンズバーグ高等中学校に編入したJは、そこで理事長の甥である優等生ポールや、モーガンといった少年たちと出会い、友情を育んでいきます。

しかし、ポールとの関係はすれ違い、傷ついたJはクラブのオーナーであるアーサーに誘われてニューヨークへ。そこでリタという女性と出会い、新たな生活を始めます。

登場人物

J（ジェイ）

本名はJ.M.オースチン。カレンズバーグに引き取られた後はJ.S.カレンズバーグと名乗ります。性同一性障害者であり、幼い頃から自分を女性だと認識しています。マリリン・モンローに憧れ、彼女の死を深く悲しむほどの大ファン。家族を壊してしまったという罪悪感を抱え、ポールに惹かれながらも、彼の重荷になりたくないと距離を置こうとします。
ポール・アンダーソン

カレンズバーグの甥で、品行方正な優等生。寮でJの世話役を務めます。Jより3歳年上で、真面目な性格。Jの過去を知り、彼を家族のように受け入れようとしますが、その考えは独りよがりで、結果的にJを傷つけてしまいます。後に弁護士事務所で働き、Jを探すリタと出会い、出所後のJを引き取ります。
アンドルー・モーガン

市長の息子で、素行の悪い少年。ポールとは昔相部屋でした。父親に反発しながらも、Jを弟のように可愛がります。不器用ながらもポールを気にかけています。
リタ・バーセルミ

本名はマーガレット。詩人を目指してニューヨークに出てきた女性。Jに助けられ、彼の付き人として同居します。性同一性障害者とは知らずにJに惹かれていきます。
アーサー・ユースタス

Jが働くクラブ「ブルー・ラピッド」のオーナー。冷酷な一面を見せながらも、Jを大切に思っています。リタに好意を抱き、関係を持ちます。
エドモント・クレモンス

雑誌記者。Jの特集記事を組もうと近づき、後にJを探すリタに協力します。ポールとも親交を深めます。
カレンズバーグ

私立カレンズバーグ高等中学校の理事長。熱心なキリスト教徒であり、ポールの父親を憎んでいましたが、妹の死後、ポールを愛そうと努めます。
ジーン

リタの娘。物語の終盤で、母親と「もう一人の母親」について語ります。Jやポールとも交流があるようです。

書誌情報

中村明日美子『Jの総て』 太田出版〈F×COMICS〉、全3巻

1巻 2004年7月6日発売 ISBN 978-4-87233-855-3
2巻 2005年5月27日発売 ISBN 978-4-87233-950-5
3巻 2006年3月31日発売 ISBN 978-4-7783-2009-6

舞台

2020年4月に舞台化が予定されていましたが、新型コロナウイルスの影響で中止となりました。

脚本・演出：ほさかよう
キャスト：竹中凌平、八神蓮、細貝圭、中山咲月、ザンヨウコ、村田充

外部リンク

舞台 「Jの総て」
舞台「Jの総て」 (@jnosubete_st) - X（旧Twitter）

関連項目

トランスジェンダー
マンガ・エロティクスF
中村明日美子

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