J-10 (航空機)

J-10戦闘機（殲撃十型）

中国が開発した戦闘機、J-10（殲撃十型）は、成都飛機工業によって設計され、国内外で高い評価を得ています。一般に西側では「ファイアバード」（Firebird）や「ヴィゴラス・ドラゴン」と呼ばれ、NATOコードネームも持っています。この戦闘機は、より高性能な主力戦闘機である殲撃11型（J-11）とともに運用され、戦力のバランスを図る混合運用戦略の一環として開発されました。

開発の背景

J-10の開発は、中華人民共和国の独自技術の壁を乗り越える挑戦でした。中国人民解放軍空軍は、かつてMiG-21をベースにしたJ-7を主力として運用していましたが、その技術では後進国に追いつくことができず、独自の戦闘機開発が急務となりました。中国の空軍は、ソビエト連邦からの技術援助を受けることができず、J-8シリーズに頼るも、その技術は旧式化していました。さらに、最新の操縦技術や運動特性を備えた戦闘機の開発には、国際的な技術協力が不可欠でした。

1980年代に、米国がF-16やF/A-18を配備し、周辺国が最新の第4世代戦闘機を導入する中、中国はそれに対抗する必要性を強く感じていました。そこで、中国はカナード付き無尾翼デルタ構造を持つ国産戦闘機の開発に着手しますが、アメリカの天安門事件による技術輸出制限に直面しました。技術導入が難航したものの、ロシアとの関係改善を通じてAL-31Fエンジンを供給され、J-10の開発が進みました。

初飛行と発展

1998年3月23日、J-10は初飛行を成功させ、その後2006年にはJ-10の開発成功が発表されました。さらに、J-10BやJ-10Cなどの派生型も登場し、それぞれが進化を遂げています。特にJ-10Cは高速性能の向上やアビオニクスの強化が行われ、一層の戦闘能力を有しています。

特徴

J-10は、ブレンデッドウィングボディ形式を採用しており、低い抗力を持ちながらも強度を確保した設計がなされています。また、べベントラルフィンの配置やエアインテークの工夫により、優れた運動性能が実現されています。機体には複合材料が多く使用され、軽量化も図られています。エンジンは元々ロシア製のAL-31FNを搭載していましたが、WS-10エンジンへの切り替えも行われています。

アビオニクスと兵装

J-10のアビオニクスは、KLJ-3レーダーを搭載し、高い探知性能を持つと目されており、同時に複数の目標を追尾できる能力があります。搭載兵装の多様性も大きな特徴で、対空ミサイルや誘導爆弾を含む多彩な兵装を運用することが可能です。

配備状況

J-10は2004年に初めて実戦部隊に配備され、その後も増強が続いています。2021年にはパキスタンへの初納入も行われ、その後も需要が高まる可能性があります。他国への輸出に関する交渉も進行中です。

結論

J-10は中国航空機産業の誇りであり、国際舞台でも存在感を示す戦闘機に成長しました。高い性能と先進的な技術を兼ね備え、今後の発展が期待されています。

もう一度検索