誘導爆弾

誘導爆弾の概要

誘導爆弾は、精密な攻撃を実現するために誘導装置が装備された航空爆弾であり、スマート爆弾とも呼ばれています。この弾薬は主に静止目標、特に建物に対する攻撃に使用され、投下後には動翼を駆使して自ら軌道を修正しつつ滑空していきます。これにより、無誘導[[爆弾]]に比べて高い効率で目標を破壊することが可能となります。誘導爆弾の利点には、目標の確実な破壊や被害地域の限定、そして爆撃に必要な兵力の削減が挙げられます。また、爆撃地点を特定することで無関係な一般市民への危害を最小限に抑えることができるとされています。

誘導爆弾は多くの国で開発されており、特にアメリカ合衆国が実戦での使用量において先行しています。ただし、無誘導[[爆弾]]との大きな違いは、基本的に推進装置を搭載しているか否かです。アメリカ軍では、推進装置を持たない弾薬も空対地ミサイルとして分類されており、これにより誘導爆弾とミサイルの境界はしばしば曖昧なものとなっています。

利点と欠点

誘導爆弾の主な利点には、高い命中精度と発射母機の生存性、さらには費用対効果の良さがあります。しかし、無誘導[[爆弾]]と比較して調達コストが約三倍に達する点や、誘導機材との関連で炸薬量が減少するなどの欠点も存在します。加えて、高度な技術を用いている場合には、事故による鹵獲による技術流出のリスクも考慮しなければなりません。

歴史的背景

誘導爆弾の歴史は、黎明期にさかのぼります。第一次世界大戦中、ドイツ帝国が有線誘導式トルペドグライダーを実戦に投入したのがその最初の例です。しかし本格的な滑空誘導爆弾は第二次世界大戦から普及し、ナチス・ドイツによるフリッツXやHs293の開発がそれを象徴しています。アメリカ軍もVB-1 AZONを開発し、実戦に使用しました。日本でも、特攻攻撃に対抗する形で様々な誘導爆弾の研究が進められるも、その多くは試作段階で終わりました。

戦後、ソ連がフリッツXを基にSNAB-3000を開発したほか、アメリカはAGM-12をベトナム戦争に投入しましたが、成功には至りませんでした。

スマート爆弾の登場

アメリカ軍は、レーザー誘導爆弾（ペイブウェイ）やテレビ誘導爆弾（AGM-62 ウォールアイ）を開発し、特にベトナム戦争で実績を残しました。これらの弾薬は、「スマート爆弾」として知られ、画期的な精密攻撃を可能にしました。これにより、特定の目標を効率的に攻撃できる能力が飛躍的に向上し、戦闘における戦術が大きく変化しました。

現代の誘導技術

今日の誘導技術には、GPS誘導や画像識別誘導などがあり、特にGPS/INS誘導が主流となっています。これらのシステムは、天候や電波妨害に影響されにくく、投下後には外部からの誘導が不要であるため、航空機は迅速に空域を離脱でき、生存性を高めることができます。ただし、GPS誘導の場合、目標の座標を正確に設定する必要があり、誤った数値を入力すると、攻撃が意図しない場所に行われる危険もあります。

誘導爆弾は、現代の戦争において重要な役割を果たしており、その技術進化は今後も続くことでしょう。

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