J-27 (潜水母艦)

J-27 潜水母艦計画の概要

J-27は、1940年代に日本海軍が計画した潜水母艦であり、当初は三隻の建造が予定されました。しかし、戦局の悪化に伴い、実際に建造が進むことはありませんでした。この艦艇は、潜水艦の運用と支援に特化した機能を持ち、海軍の戦力を補強するための重要な一環として考えられていました。

1. 当時の日本海軍の潜水母艦状況

1940年頃、日本海軍の潜水母艦の艦隊は迅鯨や長鯨といった艦艇が艦齢15年を超えており、今後は練習艦としての使用が計画されていました。これらの艦艇の老朽化に伴い、平時には問題がなかったものの、戦時体制に入ると艦隊の隻数が不足すると見込まれていました。そのため、潜水母艦の不足を補うために、民間の商船を改造した特設潜水母艦が急遽運用されることになりました。

2. J-27計画の発表と設計

1942年度の軍備充実計画において、潜水母艦として2隻（仮称第863号と864号）が新たに計画され、その後のミッドウェー海戦の結果を受け、計画の改訂も行われました。この改訂により、最終的には3隻の建造が想定され、J-27と呼ばれる計画番号が付与されました。無論、設計には改良が施され、艦艇の能力向上を図るための工夫が凝らされていました。

3. 設計の特徴と機能

J-27は、豊富な居住環境、補給能力、整備機能、通信能力を有しているとされ、またその設計は空母とは異なる本格的な潜水母艦としての特色を備えていました。これは、日本海軍が多様な戦略に応じた艦艇の必要性を認識し、未曾有の状況に対処するための一策でもありました。

4. 建造計画の中断と背景

J-27の建造は三菱長崎造船所で行う予定であり、1番艦は1945年から建造が開始される見込みでした。しかし、戦局の急激な悪化により、遂には着工すらも果たせず、計画はただの文書として残る結果となりました。このような悲劇的な運命をたどった背景には、当時の厳しい戦況やリソースの制約があったと考えられます。

まとめ

J-27計画は、日本海軍の潜水母艦の中で、実際には建造には至らなかったものの、その設計や目的には当時の海軍の思惑や戦略が色濃く反映されていました。この計画の詳細が生かされることはありませんでしたが、潜水母艦に対する期待と必要性は、艦艇史の中で忘れ去られることはないでしょう。

参考文献

• - 雑誌「丸」編集部『写真 日本の軍艦 第13巻 小艦艇I』（光人社、1990年）
• - 福井静夫『海軍艦艇史 3 航空母艦、水上機母艦、水雷・潜水母艦』（KKベストセラーズ、1982年）
• - 編集部「幻の潜水母艦「5034号艦」」
• - 海人社『世界の艦船』1991年11月号 No.443
• - 福井静夫「わが潜水母艦を偲ぶ」『日本潜水艦物語』（光人社、1994年）

もう一度検索