J-9 (航空機)

殲撃九型（J-9）についての概要

J-9（殲撃九型）は、成都飛機工業公司により開発された中華人民共和国の戦闘機である。この機体は1980年に開発が中止されたが、中国の航空機開発史における重要な位置を占めている。これは朝鮮戦争以降、ソ連製の軍用機をライセンス生産してきた中国が、独自の航空機を開発しなければならなくなった背景の中で生まれたものだ。

背景

中ソ対立を受けて、中国空軍は1960年代に瀋陽飛機工業公司によりMiG-21の国産型であるJ-7の量産を実施した。しかし、同時にその後継機の開発も必要とされた。これに伴い、J-7を基にした双発型をJ-8、単発型をJ-9と命名し、開発が進められた。しかし、早期に実用化が見込まれるJ-8の開発が優先されたため、J-9については1965年から本格的な開発計画が始まった。

開発の経緯

J-9の開発は、数度の要求変更や開発中断によって多くの困難に直面した。1966年には、5つの設計案の中からデルタ尾翼と無尾翼デルタの2つが選定されたが、高高度迎撃と長距離制空戦闘の両方を満たす要求には応えられず、開発が一時中断された。その後、再び設計が見直され開発が再開されたが、三線建設計画に伴い開発チームの移転が必要となり、再び開発が停止。1970年にはチームが成都に編入され、ここで開発が再度始動された。

この再開の時期、中国空軍はJ-8の初飛行を受けて、機体の性能向上を求めたが、当時のエンジンである910発動機の開発が遅れ、再び開発が止まる事態に発展した。1974年には910発動機の開発が進展し、性能要求もそれに合わせて修正され、さらには政府の開発経費承認を受けて、再開が決定された。最終的には、機体デザインはカナードを備えた形態へと進化した。

開発の終焉

1978年には初飛行の目処がついていたものの、910発動機に再び問題が生じ、開発チームがJ-7IIIプロジェクトに転用されることにより、開発は永続的に中止される。中国は文化大革命以降、多くの計画を抱えており、その中で実用化が難しいとされたJ-9も1980年に正式に開発中止が決定された。これにより、J-9は試作機に終わることとなったが、同時に中国の航空機開発の挑戦と苦闘の象徴ともなった。

仕様概要

• - 全長: 18m
• - 重量: 13,000kg
• - 最大速度: マッハ2.3
• - エンジン: WS-6アフターバーナー付きターボファン（推力7,270kg）1基
• - 航続距離: 2,000km
• - 実用上昇限度: 21,000m
• - 上昇力: 13,200m/min
• - 乗員: 1名

J-9の開発は、独自の技術向上を目指した中国の航空機開発史における重要なマイルストーンであり、他の国の軍事技術に依存しない体制を構築するための努力の一環として位置付けられる。

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