JABA中・四国クラブ野球選手権大会
JABA中・四国クラブ
野球選手権大会(じゃばちゅう・しこくクラブやきゅうせんしゅけんたいかい)は、中国地方および四国地方に活動拠点を置く硬式
野球のクラブチームが参加する
野球大会です。
2010年に始まり、以降毎年開催されています。大会の形態は開始当初と現在で異なり、設立からしばらくはリーグ戦として運営されていましたが、現在はトーナメント方式で覇が競われています。
設立の背景と中・四国クラブ野球リーグ時代
この大会が生まれた背景には、
日本野球連盟が主催する主要な全国大会の一つである日本選手権大会の規定変更がありました。この変更により、多くのクラブチームが9月に行われる同大会の地区予選に出場することが難しくなったのです。結果として、例年6月頃に開催される
都市対抗野球大会の予選が終了すると、それ以降は公式戦に出場する機会が大幅に減少してしまうクラブチームが多数存在しました。
このような状況を改善し、選手たちが年間を通じて実践的な試合経験を積めるようにすることを目的に、中国・四国両地方のクラブチームが主体となり、両地区の
日本野球連盟支部の協力を得ながら、新たなリーグを設立する計画が進められました。そして
2010年3月9日、
中国・四国地方の硬式
野球クラブ12チームが、リーグ発足に関する発表を行いました。この発表では、リーグ設立の狙いが「試合数の増加」と「チームおよび選手のレベル向上」にあることが強調されました。同日、この計画は
日本野球連盟中国地区連盟の理事会によって正式に承認され、リーグが始動する運びとなります。リーグの運営を担う実行委員会の代表には、当時鳥取キタロウズの部長を務めていた照下耕治氏が就任しました。
リーグ戦は勝ち点制を採用しており、このポイントによって最終的な順位が決定されました。大会規定は年度によって細かな変更がありましたが、初年度は参加全チームによる総当たり戦で実施されました。翌年度以降は、参加チームを複数のグループに分け、まずグループ内でリーグ戦を行い、そこから勝ち上がった上位チームによって決勝トーナメント、あるいは決勝リーグを実施して優勝チームを決定する形式がとられました。2012年度から2014年度にかけては、この決勝トーナメント(または決勝リーグ)が、同時に「福山市長旗杯争奪大会」としての位置づけも兼ねて開催されました。また、このリーグで優勝したチームには、西日本地域の各クラブリーグ優勝チームが集まって開催される「西日本クラブリーグチャンピオン決定戦」への出場権が与えられていましたが、この決定戦は計2回のみの開催で終了しています。
選手権大会への移行と現在の形式
2015年度からは、大会形式が大きく変更され、「JABA中・四国クラブ
野球選手権大会」として、リーグ戦からトーナメント方式へと移行しました。これにより、短期集中型の勝ち抜き戦として大会が争われるようになりました。2015年度のみ、敗れたチームにも再度試合機会を与えるための敗者戦が行われましたが、それ以降は基本的なトーナメント方式が採用されています。
近年の大会形式としては、例えば第6回大会(2020年度)では、岡山・島根、広島、山口、そして四国の4つのブロックに分かれてまず予選を行い、それぞれのブロックを勝ち上がった4チームが決勝トーナメントに進出し、最終的な優勝チームを決定するという方式が採用されています。この形式は、地域に根差した予選を通じて多くのチームに参加機会を提供しつつ、決勝ステージでハイレベルな対戦を実現する狙いがあると言えるでしょう。
参加チーム
この大会には、中国地方および四国地方の各県から多くの硬式
野球クラブチームが参加しています。
現在参加しているチームの例としては、以下の県に所在するチームが挙げられます。
島根県: MJG島根
岡山県: 倉敷ピーチジャックス、ショウワコーポレーション
広島県: MSH医療専門学校、広島鯉城クラブ、
福山ローズファイターズ、三原ヤッサベースボールクラブ
山口県: 山口防府ベースボールクラブ、航空自衛隊防府クラブ、海上自衛隊岩国クラブ、岩国五橋クラブ
徳島県: 徳島
野球倶楽部、徳島アストロズ
愛媛県: 松山フェニックス
これらのチームに加え、過去には香川県のアークバリアドリームクラブ、広島県の
日本ウェルネススポーツ専門学校広島校、鳥取県の鳥取Pear Kings、岡山県のWEED BASEBALL CLUBといったチームも参加し、大会の歴史を彩りました。年度によって参加チームの変動はありますが、地域におけるクラブ
野球の重要な活動の場となっています。
大会の意義
本大会は、特に夏以降の公式戦機会が限られるクラブチームにとって、年間を通じた活動の重要な柱の一つとなっています。設立の理念である「試合数の増加」と「レベル向上」は、形式がリーグ戦から選手権へと変わった現在も受け継がれており、地域における硬式
野球の普及・振興、そしてクラブチームの競技力向上に大きく貢献しています。歴代の優勝チームが大会の歴史に名を刻んでおり、多くの選手にとって目標となる大会です。
関連事項および外部リンク
本大会に関連する大会として、過去には「西日本クラブリーグチャンピオン決定戦」がありました。また、九州リーグや日本アカデミーリーグ、美ら島リーグといった他の地域におけるクラブチーム等のリーグ・大会も存在します。
大会に関する情報は、公益財団法人
日本野球連盟の公式サイトなどで確認できる場合があります。