JBIG

JBIG：高効率二値画像圧縮技術

JBIG（ジェイビグ）は、白黒画像データ（二値画像）を圧縮するための、古くからある国際標準規格です。ファクシミリ通信などで広く利用されてきました。正式名称は「JBIG1」で、より新しい規格「JBIG2」と区別するために使われます。

開発と標準化

JBIGは、JPEG（静止画像圧縮方式）の開発でも知られる「Joint Photographic Experts Group」のサブグループである「Joint Bi-level Image Experts Group」によって開発されました。1993年3月には、国際標準化機構（ISO）と国際電気通信連合電気通信標準化部門（ITU-T）により、それぞれISO/IEC 11544およびITU-T勧告T.82として正式に標準化されています。

高い圧縮効率

JBIGは、ファクシミリ通信向けに設計されましたが、他の二値画像にも利用できます。従来のFAX規格であるGroup 4と比較して、20～50%の高い圧縮効率を実現します。状況によっては、30倍もの圧縮率の向上も可能になります。

圧縮アルゴリズム

JBIGの圧縮アルゴリズムの中核には、IBMが開発した「Q-coder」と呼ばれる算術符号化方式が用いられています。三菱電機による改良が加えられ、「QM-coder」として知られています。QM-coderでは、各画素の符号化に際し、隣接する画素の情報や、画像内の直前の行の情報を用いて、効率的な符号化を行います。

さらに、JBIGはプログレッシブ転送にも対応しています。プログレッシブ転送では、画像データが段階的に送られてくるため、低解像度の画像を先に表示し、徐々に高解像度にしていくことができます。ただし、この機能を使うと、データ量にわずかな増加（約5%）が見られます。

特許問題

JBIGの実装には、IBM、三菱電機、AT&Tの3社の特許が関わっていました。このため、オープンソースソフトウェアなどへのJBIGの実装は長らく妨げられてきました。2012年現在では、主要なウェブブラウザでもJBIGに対応しているものはほとんどありませんでした。しかし、三菱電機の特許が2011年（カナダ、オーストラリア）および2012年（米国）に満了したことで、JBIGに関する特許の問題は解消されました。現在では、特許の心配なくJBIGを利用できます。

関連情報

ISO/IEC JTC 1/SC 29|ISO_IEC JTC 1_SC 29 (標準化委員会)
JBIG-KIT (フリーのJBIGエンコーダ/デコーダ実装)
ISO/IEC 11544 (JBIG国際標準規格)
ITU-T勧告 T.82, T.85 (JBIG関連勧告)
* RFC 2879, RFC 3949 (インターネットファクシミリに関するRFC文書)

JBIGは、高い圧縮効率と国際標準規格としての信頼性を兼ね備えた技術です。特許問題の解消により、今後の活用がさらに期待されます。

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