JDAM

JDAM（Joint Direct Attack Munition）

JDAM（Joint Direct Attack Munition）とは、無誘導爆弾に精密誘導機能を与えるために開発された装置です。この技術は2000年代初頭にアメリカで実用化され、現在も米軍を始めとする複数の国の軍隊で使用されています。JDAMシリーズは、無誘導の自由落下爆弾を全天候型の精密誘導爆弾として変化させるためのキットであり、インサート（INS）とグローバル・ポジショニング・システム（GPS）を組み合わせて利用します。

概要

JDAMは単体では武器として機能しません。無誘導爆弾に装着することで、その精度を車り高めるための「追加装置」として設計されています。対象となる爆弾は、500ポンド（約230kg）から2,000ポンド（約910kg）の範囲であり、この追加キットには空力制御翼面を備えた尾部セクションと、INS・GPSの誘導制御ユニットが含まれています。装着後の爆弾にはGBU（Guided Bomb Unit）という名称が与えられ、投下地点から最大15海里（約28km）の範囲に精密に誘導される能力を持ちます。

この技術は、従来の誘導爆弾が地上の気象条件に大きく左右される課題を克服してきました。JDAMは投下後、外部からの誘導を必要とせず、INSとGPSのみを使用して目標に向かって飛行することが可能です。さらに、セミアクティブ・レーザー・ホーミング（SALH）を併用した派生型も存在し、より高精度な攻撃を行うことができます。

歴史

JDAMの開発の背景には、1991年の砂漠の嵐作戦での米空軍の課題があります。この作戦では天候が悪化し、精密誘導装置の使用が制限されました。そのため、悪天候下でも使用できる精密誘導弾の必要性が高まりました。1992年に研究開発が始まり、1997年に最初のJDAMキットが作成され、翌年には使用テストが行われました。このテストでは、450基以上のJDAMが投下され、約95%の精度が確認されました。

作戦における初の使用はアライド・フォース作戦で、ここでの成功がJDAMの信頼性を示しました。B-2 ステルス戦略爆撃機が使用され、650基以上のJDAMが投下されましたが、使用時には常に注意が求められ、運用ミスが致命的な結果を引き起こす場合もあります。

誘導システム

JDAMは尾部セクションとストレーキ部から構成されており、INSとGPSを組み合わせた誘導制御を行います。この制御システムでは、航空機から投下後、JDAMが自らの位置を自律的に割り出し、目標に向けて最適なコースを取ることが可能です。また、投下前には目標座標が航空機にセットされ、必要に応じて変更も可能です。特に、2004年のリザルタント・フューリー演習では、JDAMを海上の移動目標に向けて誘導する成功例もあります。

新たに登場したLJDAMは、赤外線レーザー誘導機能を加え、移動目標に対する攻撃能力を向上させました。この新システムにより、従来のGPS機能とあわせて、高精度での攻撃が実現しました。

運用航空機

JDAMは多種多様な航空機に対応できます。特に、B-1、B-2、B-52爆撃機などの戦略爆撃機や、F-15やF-16のような戦闘機での運用が主要です。これらの航空機は、JDAMを使用して高精度な攻撃を行う能力を持ち、様々な作戦で実績を上げています。

輸出販売

JDAMは、アメリカ政府の武器輸出管理のもと、数ヶ国に限られた数が輸出されています。オーストラリア、日本、ドイツなどの国で運用されており、戦略爆撃機を保有しない国々では、対地攻撃の主力兵器として採用されています。

結論

JDAMは無誘導爆弾に精密な誘導能力を追加する技術として、現代の戦争において不可欠な要素となっています。開発から数十年が経過した今でも、その実用性と精度は向上し続け、多くの軍隊において運用されています。また、今後も技術の進化が期待される分野でもあります。

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