JIMO

JIMO（木星氷衛星周回機）についての概要

JIMOとは、NASAが提案した木星の氷衛星を探索するための宇宙探査機の名称です。特にエウロパに焦点を当て、この衛星の海には地球外生命体が存在する可能性があると期待され、探査が計画されていました。エウロパだけでなく、ガニメデやカリストも対象としており、これらの衛星には氷の下に液体の存在が考えられています。しかし、JIMOプロジェクトは、2005年に予算が削減されたことにより、実質的に中止となりました。

JIMOの機体と技術

JIMOには多くの革新的な技術が導入される予定でした。その推進システムには、HiPEP（High-Power Electric Propulsion）またはNEXIS（Nuclear Electric Propulsion）エンジンを使用したイオンエンジンが採用され、木星の衛星に到達するための推力を提供します。電力供給は小型原子炉によって行われ、これにより数千倍の電力を得ることが可能でした。この原子炉の熱エネルギーを電力に変換するために、ブレイトン電力変換システムが用いられる予定でした。

また、JIMOは特に強力で広帯域のレーダーシステムを有し、氷を貫通することで、探査機器への影響を最小限に抑える設計が考えられていました。これは、様々なサイズのホールスラスタを搭載することで、木星の衛星や環の周回に特化した高度なマヌーバが可能になることを目指していました。

再利用された燃料が従来の探査機では限られていたため、JIMOでは詳しく観測し、マッピングする能力が期待されていました。原子炉は機体の先端に配置され、その後方には強力な放射線シールドが搭載される予定でした。この設計により、軌道に打ち上げられる放射性同位体の量を最小限に抑えることが狙いでした。これは、以前のミッションで用いられたRTG（Radioisotope Thermoelectric Generator）よりも安全であると見なされていました。

計画の歴史とキャンセル

JIMOプロジェクトの初期設計においては、ロッキード・マーティンやボーイングIDSを押しのけ、ノースロップ・グラマンが選ばれました。初期設計コンテストは2008年まで続く予定でしたが、NASAの優先順位が有人宇宙ミッションに移行したことにより、2005年にJIMOの予算が削減されました。
計画中止の原因は、提案されていた原子力技術および軌道上での組み立ての野心的すぎる点が挙げられました。その時点では、ミッションは初期段階にあり、打ち上げは2017年以降が見込まれていました。JIMOは、NASAのプロメテウス計画における最初のミッションとして位置づけられていたのです。なお、現時点でも木星の衛星探査はNASA/ESAの共同ミッションであるEJSMとして新たに検討されています。

このように、JIMO計画は確かに多くの魅力的な技術と夢が込められたプロジェクトでしたが、その実現の道のりは容易ではありませんでした。

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